
Till

바이올런트 나잇
평균 3.4
『ヘンゼル&グレーテル』や『セブン・シスターズ』のトミー・ウィルコラが監督を務めるアクション・コメディ。 トミー・ウィルコラは個人的に今最も推したい監督の一人で、43歳と映画監督としてはまだ若いので作品数は限られているが、既にインパクトのある作品を世に送り出している。基本的にはB級映画の監督で、過激なゴア描写やどす黒いブラック・ユーモアがふんだんに盛り込まれており、決して一般受けはしない作風であることには間違いない。しかし、ストーリーテリング力や演出力の腕は確かなもので、どの作品も映画としての完成度が高く、非常に信頼できる監督の一人である。 過去作の『処刑山』シリーズも人体破壊描写満載の傑作ホラー・コメディだったし、『ヘンゼル&グレーテル』は誰もが知る童話の後日談をこちらもゴア描写で味付けした面白い映画だった。おそらく一番知名度が高いのは『セブン・シスターズ』だと思うが、これも確かに意外とグロいところはあるし、全く飽きずに観れるスリリングな作品に仕上がっていたものの、全体的には真面目な作風だったため、なんとなく突き抜けてない感は否めず、それゆえに物語の畳みかけ方の雑さが目立つ感じもした。しかし、その後に再び母国ノルウェーに戻って撮影した『ザ・トリップ』はガイ・リッチー的な先の読めないサスペンスフルな物語と強烈なバイオレンス描写が融合したこれまた見事なブラック・コメディで、監督のらしさ全開の素晴らしい映画だった。 そんなトミー・ウィルコラ監督の最新作となった本作だが、サンタクロースが武装強盗団の襲撃に巻き込まれるといういかにもB級映画らしい荒唐無稽な設定でありながらも、『ブレット・トレイン』や『Mr.ノーバディ』などを手がけた製作集団「87ノース・プロダクションズ」による洗練されたアクション演出、タイトル通りの過激なバイオレンス描写、そしてセンスあるブラックなユーモア、さらにはハートウォーミングでエモーショナルな展開までも用意されており、予告編を観たときから抱いていた期待に120%応えてくれるような作品だった。過去のクリスマス映画に対するオマージュにも溢れており、主人公が人質を救うために強盗団と戦わざるを得ない状況に陥るという基本的なプロットは『ダイ・ハード』そのものだし(敵のトランシーバーを奪ってリーダーと直接会話するあたりとかも)、トラップを仕掛けてコミカルに返り討ちにする『ホーム・アローン』な展開もあるし、「信じること」の大切さを問う作品のテーマ性は『34丁目の奇蹟』にも通ずる。もちろんこれらの作品にはないような残虐シーンが満載で決して子供には見せられないが、「サンタの存在を信じる」という純粋さを失ってしまった大人たちにもう一度夢と希望を与えてくれるような素晴らしいクリスマス映画に仕上がっているのではないだろうか。 なんでこの映画を2月に公開したのかは謎ですが(本国アメリカではちゃんと12月に公開している)、今年のクリスマスの金曜ロードショーでは『ホームアローン』ではなく、ぜひ『バイオレント・ナイト』を放送していただきたいです(R15+なので無理でしょうけど)。