코멘트
児童福祉、虐待児の教育に携わる仕事をしています。 本作に出会ったのは偶然ですが、この立場から観ることができたのは幸運でしたし、仕事柄、愛着心理の描き方や人間の行動パターンに共感するところが多々ありました。 映画には割とすぐに高評価をつけてしまいがちですが、この★5には「面白かった」とは全く別の意味を込めています。私の人生最長のレビューになります。 【本作の重要なポイントだと思った3点】 ①子どもは、お母さんが大好きになるように、そういう心の形で生まれてくるということ 親の同意なしに親と子を引き離すことには現法制度的に高いハードルがあります。何より、虐待児自らが親と離れることを望まないというケースが多いのです。 幼ければ幼いほど、子にはどんなにひどい親でも愛着的依存があり、ここに親の支配が加わると、絆は呪いと化していきます。 周平のような子どもを救うためには、世間一般的な親子愛や親子の絆を、誰かが、リスクを侵して引き剥がす必要があります。福祉側が裁判を起こした事例もありますが、勝ったところを見たことはありません。 周平が秋子から離れられなかったのは、冬華を人質にされたこと以上の精神支配があったと考えます。普通、学校や周りの環境と自分を比較しながら、親との距離感は適正化されていきます。そのチャンスが与えられなかった周平を責めるのはナンセンスですね…。 ②誰一人として、根本的解決をしようとしていないこと 印象的だったのは、秋子が妹を妊娠した際に、幼い周平が最後に、楓おばさんや、おばあちゃんにお金の無心に行くシーン。お父さんが「お父さんのところ来るか?」と聞くシーンもそうかな。 ここ、本当にひどい。だけど、リアル。 秋子と周平に足りないのは「お金」じゃないんだよ! 楓おばさんが投げつけたのも、おじいちゃんが同情から「少しだけ」と出そうとしたのも、お父さんが「振り込んだ」のも「お金」だった。 秋子の精神的基盤が救われていない以上、お金なんて、すぐになくなって、また同じことが繰り返されるのに、誰もそのことに向き合おうとしない。 「お金の無心」「秋子のクズさ」のその向こうにある根本的な問題を、誰も掬おうとしない。 めちゃくちゃ共感しました。 昔、自分も友達にお金を継続的に無心されていました。 「このお金を出せば解放される」「これで逃げられる」と、目の前の苦しみから逃げるためだけに、お金を渡し続けましたが、結局苦しみが長期化しただけでした。 一度お金を貸してしまったことが、三隅家の失敗の始まりでした。でも、責められない。だって、きっとみんなそうだから。 だからこそ、多くの人に、「心の問題の解決」について知って欲しいと強く思いました。 ③愚者は愚行しか知らない。故に愚者である。 秋子はクズですし、秋子に寄ってくる人間もみんなクズです。周平本人を慮ることができない時点で、どんなに愛があったとしても、秋子は間違いなく、親としての素養に欠けていました。 ただし、誰もが、年齢や立場に見合った成長をするとは限らない。親なんだから、大人なんだから、という尺度で秋子に期待をしてしまうから、秋子の精神はいつまで経っても救われない。そして、周りも救いたいという気持ちになれない。 秋子がクズたる所以は、「クズな生き方」しか知らないところにあります。 自分を否定しない存在に縋る、男と関係をもつ、お金を無心する、働かない、他人のせいにする、なじったりキレたりして他者をコントロールする、物を盗む、やばくなったら逃げる、etc… 精神の器が全く成長し切っていないまま大人になってしまった感が否めない。正しい生き方を知り、この負のループを脱却するきっかけが、秋子の人生のどこかにあったなら…。 早い段階で男が関係をもつことを断っていたら、早い段階でお金の貸し借りを誰かが断っていたら…、そんなたらればを考えてしまいます。 だからこそ、現在の子どもたちをそんな大人にしないために、教育と福祉があるのでしょう。 ------ いろいろ書きましたが、一番心に残っているのは、お金の無心を断られて帰ってきた周平を、一度だけ、秋子が抱きしめるシーン。 そして、数年後、同じ場所で、祖父母を殺害して帰ってきた周平を、褒めるどころか、ドン引きして後ずさるシーン。 この対比に思わず涙してしまいました。ただのドキュメンタリーじゃない、本当に映画として素晴らしい描き方だった。 この事件を世に知らしめてくれたこと、児童福祉の問題を、丁寧に、映画にしてくれたこと、それに見合う素晴らしい役者さん方の演技、全てに感謝しています。 ただの「クズな母親」を描いた胸糞映画じゃないということを、どうか世の方々に知って欲しいと、切に願います。
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