
星ゆたか

황혼의 빛
평균 3.6
2022.5.31 “敗者3部作”の3作目。一番強欲で紳士ヅラしていて冷酷な“強者”が最後までニヒリ顔でほくそ笑み、なんとか普通水準の幸福レベルまで這い上がろとする“敗者”が、傷つけられ廃れこむ姿の弱い所を、見せられた私は、ストレス溜まりぱっなしの作品になった。 警備会社の夜勤の見回りが主なる仕事の主人公。三年も勤めているのに上司や同僚からも疎まれている。無口で愛想もなく、人に取り入れられようともしないので孤立している。ただいつもの彼は、出合う初対面の人にも、決まって『やぁ』と挨拶はしている。それなのに周りが相手にしない。そこで内心はいつかはきっと、皆を見返してやろうと思っているが、金も何かを起こそうも人脈もコネもない。 喧嘩なれしているガラの悪い連中の飼い主に、よく見かける犬が一週間も店の外につながれぱっなしと文句を言うと、たちまち張り倒される始末。 そんなある日、彼が寂しそうだからと食堂で食事中、相席を少しハデめな女性が言いよってきた。 この時彼女の顔のズームアップ。映画が始まって二回目。その前に別のレストランで何か企みを定めた紳士の同じズームアップがあり、後にこの二人は愛人関係の男女であることが解る。つまり映画で彼らの関係・目的を印象づける演出。 主人公には最初から最後まで温かい眼差しで見つめる、ソーセージグリル販売車の女性がすぐそばにいるのに、高嶺の花的女性が自分の彼女になるかも知れないの一点で舞い上がってしまう。 その女も良心の呵責を少しは感じているが、金の関係からの愛人を失うほどの強い気持ちでもない。彼女は、はっきり言う。 『彼は、負け犬よ敗者よ』 それでも初めは彼に近づく目的を知らされてなかったので少しタメライがち。 また男は言う。『犬のように忠実でバカでめめしい男さ、そこを見破った私は天才だ。』 つまり深夜の宝石店泥棒計画の実施に、夜回りの彼の鍵を盗み、彼に睡眠薬で眠らせている間に決行する。 この映画では前記の会社の人間もだが、企業を考案し相談しに行った銀行も、後に夜間の宝石泥棒の片棒のヌレギヌで彼を逮捕する警察も、全て一般の人間に対して高圧的で、主人公に対して容赦ない冷たい対応だ。 この世は全て“勝者”で回り、“敗者”はどこまでいっても、ふれふして従うしかないという見解すら感じられる。 この男も何故ヌレギヌに対して、恋人のフリをして近づき、宝石泥棒の片棒の女を最後までかばうのか?裁判で何の弁明もせず、一年の実刑を素直に受けるのか? 求刑中彼を心配して手紙を刑務所に送ったソーセージ屋の彼女を無視するのか? やや自虐的で納得いかない。 出所してやっとサラ洗いの仕事にありつけ、その店の客にあの犯罪の主犯者の男と女を見つけ、衝動的に店の包丁で切りかかり、簡単に男の取り巻きに殴り倒され、港に振り捨てられた。 その連絡を受け、駆けつけたソーセージ屋の彼女に、介抱された最後も今一つ満たされなかった気分になった。 また例によって“いぬ”も登場する。街の暴れものに棄てられた設定だが、その割にはブラッシングの効いた、小綺麗な毛並みの犬🐶。 しかし、した目づかいの主人公とこの犬の表情が、どことなく似ているのは作品の愛嬌か。