
dreamer

상과 하
평균 3.6
ロバート・ミッチャムがアメリカ軍の駆逐艦長になり、クルト・ユルゲンスがドイツ軍の潜水艦長に扮して、壮烈な一騎打ちを演じた「眼下の敵」は、武士道的な友愛精神をまともに描いた作品だ。 唄うスター出身のディック・パウエル監督による作品だが、戦闘というものを徹底的にスポーツ風に扱っている点が興味深く、ミッチャム・キャプテンとユルゲンス・キャプテンが知恵を絞って作戦を練り、虚々実々の戦いを繰り広げるプロセスが、スリリングに描き出されていたと思う。 両軍とも実力はほぼ互角なので、思うように得点を稼げない。まず、アメリカ駆逐艦は、さかんに爆雷を落としてドイツ軍を悩ませ、こまかく点を稼いでいく。これに対して、ドイツ潜水艦が水中深く潜って行方をくらまし、ひそかに脱出のチャンスを狙うあたりは、見事なサスペンスの盛り上がりを見せている。 そして、両方の艦はエンジンを止めて、それぞれ相手の気配をうかがうのだが、その"不気味な静寂"が画面いっぱいに広がってくると、観ている方は、思わずかたずをのまずにはいられない。 この膠着状態を打破するために、ドイツ軍は反撃に乗り出し、魚雷を駆逐艦の胴体にぶっつけるのです。こうして、アメリカ軍はピンチに陥るが、ミッチャム・キャプテンのとっさの機転で、米軍は駆逐艦をドイツ潜水艦に体当たりさせて共倒れ----。 この両軍の戦いは、あくまでもフェア・プレーで行なわれ、ミッチャムは敵のキャプテンのユルゲンスを救助したり、ユルゲンスはミッチャムに敬意を表したり、お互いに相手の武勲を褒め合ってかたい握手を交わす。 この作品では、二人の好演が見物であり、ミッチャム・ファンはアメリカ軍側に、ユルゲンス・ファンはドイツ軍の応援をというような作り方だから、まるで野球かサッカーの手に汗握る、面白い試合を観ているような気分なのだ。 したがって、戦争の残虐さなど、どこにも見あたらないが、川中島合戦での越後の上杉謙信と甲斐の武田信玄との一騎打ちを彷彿とさせるような、"古武士的な友愛精神"が、爽快に表現されていたように思う。 それにしても、こんなにスカッとした戦争映画も非常に珍しいと思う。