dreamer4.5熊井啓監督の「帝銀事件 死刑囚」は、実に面白く、考えさせられる映画だ。 事件の発生から捜査開始、平沢貞通の逮捕、裁判の様子などを新聞社・昭和新報の記者たちの視点を中心に、実に決め細やかに描き、飽きさせない。 むしろ2時間弱の長さでは、物足りなさを感じさせるほど濃密な作品なのだ。 まず、映画は事件を再現する。 犯人は後姿で顔は映らないのだが、声は加藤嘉(ノンクレジット)。 行き詰る捜査、事件の経過は、比較的早口のセリフで映画は進行し、どうかすると取り残されてしまう。 警察も薬物に関して詳しいものという線から、「旧日本軍の731部隊の関係者」ではないかと、めぼしをつけるのだが、この方面の捜査は打ち切りとなってしまう。 犯人が予行演習をしたと見られる、他の銀行での同様の手口の未遂事件で残した名刺を貰っていた、平沢貞通が捜査線上に浮かぶ。 生き残った行員(笹森礼子、山本陽子)らの面通しでは、否定的な意見も多かったが、警察は逮捕に踏み切る。 ここから強引な取調べが始まる。 記者達は、旧日本軍関係者を洗ううち、GHQから取材の中止の要請(事実上の命令)を受ける。 恐らく、731部隊など旧日本軍の毒物研究に携わったものの犯行だと思われるが、その線で犯人が逮捕されると、アメリカが731部隊の研究資料と引き換えに、731部隊の関係者を戦犯にしなかった事実が公になってしまう。 そうなると、ソ連が731部隊の関係者の引渡しを要求するだろうし、ひいては、現在裁判中の東京裁判にも影響を及ぼしてしまう。 だから、旧日本軍関係者には、捜査の手が及ばなかったのだと映画は結論付ける。 この映画では、いわゆるスターは登場しない。 中心となる新聞記者も、内藤武敏と井上昭文というバイプレーヤーが演じている。 しかし、そのドキュメンタリー的手法が、観る者をぐいぐいと惹きつける。 笹森礼子が、主人公の内藤武敏の新聞記者と結婚し、そのプロポーズするシーンが余計な甘さを感じるが、これは事実のようだから仕方がない。 ラスト、映画は死刑にならない平沢を写し、「人間は時に誤りを犯す」というようなナレーションが流れる。 ただし、このナレーションは、最初はなかったのだが、製作サイドの日活側から、「こういうナレーションを入れて欲しい」という要望があったということだ。 映画として、今観ても、抜群に面白い。しかし、これは現実の事件だ。 後の占領下の日本の怪事件なのだ。 そのテーマを熊井啓監督は、さらに掘り下げ、その後、名作「日本列島」を作ることになる。좋아요2댓글0
邊見 猛
5.0
스포일러가 있어요!!
むささび
3.0
스포일러가 있어요!!
dreamer
4.5
熊井啓監督の「帝銀事件 死刑囚」は、実に面白く、考えさせられる映画だ。 事件の発生から捜査開始、平沢貞通の逮捕、裁判の様子などを新聞社・昭和新報の記者たちの視点を中心に、実に決め細やかに描き、飽きさせない。 むしろ2時間弱の長さでは、物足りなさを感じさせるほど濃密な作品なのだ。 まず、映画は事件を再現する。 犯人は後姿で顔は映らないのだが、声は加藤嘉(ノンクレジット)。 行き詰る捜査、事件の経過は、比較的早口のセリフで映画は進行し、どうかすると取り残されてしまう。 警察も薬物に関して詳しいものという線から、「旧日本軍の731部隊の関係者」ではないかと、めぼしをつけるのだが、この方面の捜査は打ち切りとなってしまう。 犯人が予行演習をしたと見られる、他の銀行での同様の手口の未遂事件で残した名刺を貰っていた、平沢貞通が捜査線上に浮かぶ。 生き残った行員(笹森礼子、山本陽子)らの面通しでは、否定的な意見も多かったが、警察は逮捕に踏み切る。 ここから強引な取調べが始まる。 記者達は、旧日本軍関係者を洗ううち、GHQから取材の中止の要請(事実上の命令)を受ける。 恐らく、731部隊など旧日本軍の毒物研究に携わったものの犯行だと思われるが、その線で犯人が逮捕されると、アメリカが731部隊の研究資料と引き換えに、731部隊の関係者を戦犯にしなかった事実が公になってしまう。 そうなると、ソ連が731部隊の関係者の引渡しを要求するだろうし、ひいては、現在裁判中の東京裁判にも影響を及ぼしてしまう。 だから、旧日本軍関係者には、捜査の手が及ばなかったのだと映画は結論付ける。 この映画では、いわゆるスターは登場しない。 中心となる新聞記者も、内藤武敏と井上昭文というバイプレーヤーが演じている。 しかし、そのドキュメンタリー的手法が、観る者をぐいぐいと惹きつける。 笹森礼子が、主人公の内藤武敏の新聞記者と結婚し、そのプロポーズするシーンが余計な甘さを感じるが、これは事実のようだから仕方がない。 ラスト、映画は死刑にならない平沢を写し、「人間は時に誤りを犯す」というようなナレーションが流れる。 ただし、このナレーションは、最初はなかったのだが、製作サイドの日活側から、「こういうナレーションを入れて欲しい」という要望があったということだ。 映画として、今観ても、抜群に面白い。しかし、これは現実の事件だ。 後の占領下の日本の怪事件なのだ。 そのテーマを熊井啓監督は、さらに掘り下げ、その後、名作「日本列島」を作ることになる。
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