미스터 론리

【考察と感想】 自分ではない誰かになりきって生きることは、傍目に見て、おかしな生き方に見えます。 一方、飛行機から生身で落下し、奇跡の生還を果たしたシスター。 生身で落下する最中、神に祈り、神に委ねる姿も異様に見えます。 加えて、その体験を神からの奇跡だと信じ、他のシスター達にも進める様は、狂気を感じます。 しかし、生きることの辛さから目を背けることが苦手な人々が、それでも生きようとする。その為に何かに縋ることは悪いことなのだろうか？ 終盤のシーンでマイケルとして生きることをやめた主人公は、街の喧騒の中孤独でいる自分に心地よさを感じているように見えます。 人々が社会の中で必死に何かを成し遂げようとすることも、恋愛に心を焦がすことも、街の中で楽しく騒ぐことも、 生きること、そしてやがて必ず訪れる死を忘れるための一時の夢のようなものであり、 その意味で、誰かになりきって生きることも、神に祈りを捧げることも、変わらなく無意味なことだという描き方がされているように感じました。 憂鬱に包まれる作品ではありますが、柔らかで鋭利な痛みと共に、生きることを描いた作品だと思います。 何に対しても否定的とも肯定的とも取れるような作品なので、憂鬱に苛まれて生きている人は、少し落ち着いてから観た方がいいかもしれません。