熱心に部下を教育するベテラン警官と、目的のためなら外道行為もいとわない悪徳警官という、映画史に残る二面性を持つキャラクター、アロンゾ。 果たしてどこまでが本心で、どこまでが演技なのか。 私はどちらも本当のアロンゾの姿なのだと思う。ジェイクに語った若い頃の熱血エピソードはとても出鱈目には聞こえないし、アドバイスも理に適ったものが多い。一方で、素の性格なのか、はたまたロスの瘴気に当てられた故か、ともかく常軌を逸したエゴイストなのも間違いない。本気でジェイクを育てていたが、結局は本気で裏切った、それだけのことなのだろう。 …そういうしょーもない考察はここまでとして、実際、これほど矛盾を抱えた人物が、心理描写を一切見せないのが非常に不気味だ。映画の演出のためと言っては元も子もないが。 こんな掴み所のなさすぎる役を演じたデンゼル・ワシントンはかなり大変だったに違いない。しかし、それをモノにしてしまうあたり流石一流。一見で「あ、これアカデミー賞とるやつだ」ってなるレベルの名演だった。 ラストは結構あっさり終わったが、特典映像の「もうひとつのラスト」を観ると、ジェイクのブレない信念をうかがうことができる。 気になった方は是非。