2019年3本目は「未体験ゾーンの映画たち」にて公開中の南アフリカ映画。同名タイトルの原作『the number』を原作としており、筆者が出会った元囚人の実体験から着想を得て描かれたのだそうです。 発展途上国の刑務所はごみ溜め同然の不衛生さで、法律も治安も何もありません。ドラッグや殺人が平然と横行し、看守が賄賂によって買収されたり「ケツを掘られる」シーンがあったりと、最早この手のジャンルにはお馴染みの名場面が披露されます。 本作は公開されるタイミングと場所が非常に悪く、ほとんど類似した設定でリアリティは数段上の良作、『暁に祈れ』がなんと同じ劇場で上映中なのです。この映画も臨場感や切迫感で言うと勝るとも劣らないのですが、尺が短すぎて主人公が改心する理由やその過程を説得力と熱気を込めて描けていないのが痛い。 何年も刑務所内の極悪組織で階級まで与えられていただけあって主人公はめちゃくちゃ悪いヤツなんですけど、これだけ作品全体が平板とし過ぎているとコイツに好感が持てないというか…。あと30分くらい使ってじっくり見せてほしかったですね。