
星ゆたか

Unfinished Piece for Mechanical Piano
Avg 4.3
2022.1 「機械じかけのピアノのための未完成の戯曲」1977年の、ソビエト映画。 監督、ニキータ・ミハルコフ。(黒澤明監督とも、親好が厚かった。) 長~いタイトルの同監督・日本初デビュー・第三作目。公開は1981年、私は同年12月4日に、NHK教育TVで放映された(早やっ!)のを、確かベータビデオで録画して見た。でも一回目、コックリ、二回目、コックリ、途中で眠りこんでしまい、意を決して、別の日に。三回目にしてようやく、集中し、大感激した作品です。 劇中流される歌曲・ドニゼッティのアリア〔人しれぬ涙〕(歌劇♪愛の妙薬♪より)の調べは、お気に入りで、その後ルチアーノ・パヴァロッティの歌唱を聞いています。 物語は、前世紀末のロシア。ある将軍未亡人の館に、近隣在住の貴族たちが集まる所から始まる。将軍の先妻の息子が、突然結婚し、その新妻を皆に紹介しようと、パーティを開くことになったのだ。招かれた内の一人に、小学校教師プラトーノフがいて、妻のサーシャと共に出席した。驚いたのは、紹介された新妻ソフィアが、なんと大学時代に付き合っていた彼女ではないか。別れてから、数年ぶりの再会で、お互い微妙な変化・地位に内心落胆しつつも、夕食を経て‥‥‥‥。途中、機械じかけのピアノから、リストの♪ハンガリー狂詩曲♪が流れたりした後、夜の闇に花火が上がる。その中プラトーノフとソフィアは、話をする内に感情の激するままに抱きあい、『ここから連れ出して、二人で新しい人生を築きましょう』とソフィアが迫る。だがプラトーノフは、『私は35だ。こんな所にいて何一つ出来なかった。もう駄目だ。』と、叫び出す。その声に皆が集まり、興奮したプラトーノフは、死のうと近くの川に飛びこむ。しかしその川は浅くそれも叶わぬ。 駆け寄る彼の妻サーシャ(ソフィアのような華やかさはないが、素直で誠実)は、夫を愛し、その愛は誰にも負けないと、力強く夫を抱きしめる、妻の言葉に、彼は、ようやく気を取り直したのである。ソフィアも何ごともなかったように一時は心配した夫に寄り添い‥。 原作は、チエーホフの喜劇で、とてもユーモラス。 ラストは、翌朝いたずらっ子の地主の おいの少年(この映画では物語の進行の背景画面にごく自然に子供の日常の動きを見せて、とてもイイ感じ)の寝顔に、陽の光が当たり出す‥‥‥まるで新しい時代、新しい世代の幕開けかのように。