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信仰と現実の矛盾を主軸に、神はいるのか、神が運命を決めるのかと問う群像劇。クライマックスに向けてひとつにまとまっていくドラマと登場人物たちの感情のゆらぎ。硬軟が両立されていて魅力的な空気だった。観客への情報量もちょうど良く、サスペンスとしても面白い。飛行機事故のフラッシュフォワードと、登場人物たちの運命を見渡す作りで、神の視点的なひっかかりも持てる。 登場人物のひとりが「捨て身だ」と言っていたとおり、彼ら彼女らはみんな捨て身で何らかを信じ、あるいは何らかに捕らわれ、自分の平穏や命を投げ出そうとしている。それを愚行だとは言えるけど、同時に彼らが背いた倫理や道徳観、正義、科学的根拠も、大勢に信じらながらときに揺れ、利害のために都合よく扱われ、新しい事実にくつがえされることもある。 神がいないならそれは残酷なのか希望なのか。運命なんてそもそもあるのか。疑いながら観ていても、ただの雨が、天から降りそそがれる意味ありげなものに感じられてしまう。演出と、ちょっとエキゾチックな音楽も良かった。 @DVD
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