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てる

てる

2 years ago

3.5


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An Autumn Afternoon

Movies ・ 1962

Avg 3.6

小津安二郎の遺作となった作品。 年老いた父とその父を想うがゆえに結婚しない娘の話し。 『晩春』を思い出す。というか似たような話しだなぁと思う。 これは現代人だからなのか、それとも親子の絆が薄い私の個人的な思想なのかわからないが、親が心配だから結婚出来ないなんてことあるんかね? 現代とは結婚というものの有り様が違うのはもちろんあるだろう。親が子どもの結婚相手を探すというのは当時は当たり前だったのかもしれないが、現代ではどうなんだろうか。今だにお見合い結婚とかあるのかな。 とはいえ、この時代の中では、このお父さんは随分と優しくて、融通の利く方なんだとは思う。恋愛結婚がしたいのであればそうさせようとしてくれている。相手がいないのであれば、自ら足を運んで探している。娘が心配なのはわかるけども、結婚する当の本人の意志が置き去りになっている。 その置き去りになった娘の親に対する想いと、結婚してほしいが結婚したらそれはそれで寂しいという父の微妙な心のすれ違いがある。 果たして、この感想が小津安次郎が求めた感想なのかだろうか。 私の考えとしては、親が自らの結婚に対して口を挟むなど言語道断だ。心配なのはわかるが、意思もないのに結婚させるなど、もっての他だ。自分の人生なのだから、相手は自分で決めるし、結婚の時期も自分たちで決めたい。そこに失敗があったとしても、それもまた人生経験なのだとそっとしておいてほしい。 たぶん、当時の人とは考え方に相違があると思う。 だからこそ、私は彼等に共感が出来ない。 あれやこれやと奔走する父には呆れてしまう。何を1人で舞い上がっているのだろうと思ってしまう。それに、娘を送り出して、ほっとした反面、寂しいという感情はわからなくはないが、自分が勝手にやったことで、悔やんでる姿に同情の感情は全く沸かなかった。 それに対してあまり口を挟まない娘に関しては理解不能だ。父が心配で結婚に踏み切れないほど、父を深く愛している娘。それって小津安次郎が求める理想の娘像なのではないかと思ってしまう。それとも昔はそんなものだったのだろうか。 現代と当時の結婚感の相違でこの作品を楽しめていないのは確かだ。 でも、この作品には人情があるのは伝わってくる。それは、現代の人よりももっと熱い感情だったのだろう。 だからこそ、この作品を観るとその人間の温かさが羨ましく感じる。 この作品の中に悪人は誰一人出てこない。ほのぼのしているけど、どこかすれていて、人間らしさを感じる。不便であるけど、楽しさを感じる。 現代は人間関係が複雑だからこそ割りきってしまわなければならないこともある。でも、この時代の人は、あまり多くない人との絆の中に生きている。だからこそ他人を無下にしないのかなぁなんて思ったり。 現代と過去との違いを感じさせる作品だった。