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2020年168本目に鑑賞した新作は、ジェイク・ギレンホールが製作に名を連ねた、どす黒い負の連鎖をひたすら綴るスリラー『悪魔はすぐそこに』。 ------------------------------------------------------------ 本当に気が滅入る・嫌な気持ちにさせられること請け合いのストーリーで、2時間以上に渡って無意味な殺し合いに付き合わなければなりません。その中心には一応「信仰」という共通のテーマが据えられており、ロバート・パティンソンは神の名を利用して少女を拐かし、ハリー・メリングは神を信じるあまり殺戮に手を染め、ジェイソン・クラークは神を超越した世界を覗き込むため殺人を繰り返します。 ------------------------------------------------------------ 人を救うためにあるべき信仰が正反対の「暴力」へと繋がっていき、多くの人の人生を狂わせていく様子を不条理に描き出そうとしたのでしょうが、それをモノローグ多めの説明ゼリフで語ってしまうのがやや微妙。また、登場人物の内面の弱さや人としての卑しさが見えれば思いを巡らせることもできますけど、彼らは単なる理解の及ばない狂人でしかありません。 ------------------------------------------------------------ 結果としてこれだけ残虐なシーンが多く視覚的に刺激が強いはずなのに、淡々と人が死んでいく様子を眺めるだけなので、非常に間延びした印象を受けます。キャスト陣の好演が素晴らしいだけに(主演のトム・ホランドは童顔すぎてあまり役にそぐわないのですが)、もうちょっとディレクションが何とかならなかったのかと感じてしまいます。
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