
星ゆたか

Wait Until Dark
Avg 3.5
2022.2 〔サスペンスの神様〕アルフレッド・ヒッチコック監督は、″人間にとって、恐怖とは、ある程度その壁をつきぬけると、 突然笑い出したくなる要求にかられる。"と、言った。 私は、この作品を見た時、あの可憐で気丈なオードリーの顔が恐怖におののくたびに、面白くて仕方なく、笑ってしまった。たぶんこれは、この映画の、“恐怖への作劇”が、面白かったからだと思う。 彼女は本作でも、アカデミー賞のオスカー候補になった。また、この頃俳優としての魅力が乗っていた共演のアラン・アーキンは、翌年「愛すれど心さびしく」で、候補に。(なるほどナアーッ) 後半クライマックスになると数度、画面が真っ暗になる。こんな映画も珍しい。目の見えないヒロインが、麻薬の入った人形をめぐって、殺人犯と対決するために、部屋中の光を消したからだ。ただし冷蔵庫の中の光だけが消せなかった。公開時、彼女が犯人をナイフで 刺し逃げようとした時、足を捕まれる場面では、客席から悲鳴が上がったという。 また物語的には、階上に住む情緒多感な少女の配置も、サスペンスを面白くした。それと、小道具の使い方も、うまい!。マッチ、煙草、電話、ガソリン、揺り椅子、マフラー、ナイフ等などだ。 ただ、目の見えないヒロインの聴覚(足音の変化・物を触った時の微妙な空気の流れ)と共に、嗅覚の要素をさらに盛りこんで欲しかった。三人が同室にいる時の "臭い″の変化にもっと気がつくはずだ。(煙草の臭いに気がつく発言はあるが) まったく話は変わるけど。このレビユーを書いているのが、2022年冬季オリンピックの時期なので、余談ではあるが。 2021年東京夏のパラリンピックの、男子100メートル視覚障害バタフライで、金・銀メダルを分けあった二人の日本選手の感動的シヨット。優勝して(メダルの色は見えないので)君が代を"聞きたかった″と、お互い顔も見えないのに、抱きあい顔を崩した名場面。〔目が見えない〕という状況を、もう一度かみしめた上で、こうした映画を見ると、あらたな感情が生まれるかも知れない。