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映画というよりは、回想シーンを挟んだドキュメンタリーという趣。テロリストに立ち向かう武勇伝映画を期待していくと肩透かしをくらう。そんな映画なら(掃いて捨てるほどあるし)わざわざ実話である必要はない。そしてイーストウッドの作品だからそんなのあるわけない。彼らが、「なぜ」そんなことができたのか、彼らをそうさせたものは何だったのか、それを丁寧に紐解いていく映画である。 勇気を持て!というけれど、勇気なんて教えられて訓練されて身につくものではたぶんなくて、生まれ持った資質なんじゃないだろうか。そうでなければ、そんな咄嗟の時に「考える」なんてことせずに無鉄砲に立ち向かうことはできないはず。 初めてヨーロッパに来た若いアメリカ人青年がいかにもやりそうなお気楽な旅行に付き合わされるのは、冗長といえばたしかにそうかもしれない。でも、いかに彼らが弛緩して楽しい時を過ごしていたのか、そして、彼らがいかに生まれながらのヒーローではなくて、ごく普通の青年たちであること、それを伝えるためには必要だったのじゃないだろうか。 スペンサーが、柔術を楽しんでいること、救命処置も学んでいくこと、そんなことが一気に畳み掛けられるように、回収されていく、それも流石。 ご本人たちが演じてると、知ってはいたけれど、途中でそのことを忘れるほどだった。だって、「演じる」必要はないんだもんね、なんてったって本人なんだから!
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