Comment
登場人物は3人であるが、ほぼ完全な一人芝居である。重要な役で「若い女」がいるが、この人は台詞は殆ど無し、シュラフの中で苦しそうにただ寝ている。もう一人のヘリのパイロットは登場の段階から死んでいる。 ストーリーは、何らかの理由でセスナを飛ばし、何らかの理由で極地に不時着した「男」が、機体をベースにして救助が来るまでひたすらルーチンをこなして生き延びているのだが、救助に来たヘリが墜落する。乗っていた女が瀕死状態となったのを機に、男はおそらく100キロ以上は離れているであろう観測所に、ベースを捨てて、極寒のアップダウンを、女をソリに縛ってひたすら歩くというもの。 これだけ徹底した一人芝居、しかもほぼ白い大地というワンシーン、ソリを引くだけのアクションで97分を見せたのは圧巻。 次第に男が、「十字架を背負ったキリスト」に見えて来るのが凄く、ラストのある種「美しさ」も特筆モノ。台詞が少ない静かな映画の、観客に強いる緊張感は100分が限度であろう。その編集にも脱帽。
2 likes0 replies