
Schindler's Memo
6 years ago

11.25: The Day He Chose His Own Fate
Avg 2.9
あの時代をリアルに切り取っている。それに尽きる。 三島に迎合しているところは皆無であり、かといって当時の全共闘や、警察、自衛隊に肩入れしている訳でもない。 若松監督は、「あさま山荘・・」、「キャタピラー」と、かなり熱を入れた演出をしていたと感じたのだが、この作品は一転してドライだ。 三島由紀夫という人間は、つまり、「ストイックに生きる(もしくは死ぬ)」ということに対して特有の憧憬があり、それを如何に世間に見せるかということに腐心した男であったのだと、改めてこの映画を観て思った。天才的な文士であったことが、この稚拙(少なくとも、落ち着いた大人の考えではない)とも思える思想に相乗的に拍車をかけ、踏みとどまることを許さなかったのではと思う。 彼の剣道、自衛隊体験入隊、ボディビルディング、映画出演などは、強烈な自己主張、さらにはナルシズムの表れであるが、それも彼が結果的にひ弱な体躯を持っていたことへのコンプレックスと考えることも出来る。 まあ、昭和の大事件ではあるが、これによって歴史的に何がどうなった訳でもないことは確かだし、あの時代そのものが一体何だったのか?という視点も、随所に見受けられ、若松監督のようにあの時代と同世代の人間が、このようにドライに描ききったことに驚いてしまった。 何か、亡くなる直前に、このような超然とした作品を撮ったということに、何となく運命的な感じを覚えてしまった。