
YOU

Layer Cake
Avg 3.2
Dec 27, 2021.
マシュー・ヴォーンが監督を務めた、2004年公開のクライム・サスペンス。 J・J・コノリーによる2004年の同名小説を原作とする本作は、『キック・アス』や「キングスマン」シリーズで知られるマシュー・ヴォーンの監督デビュー作。どうやら当初この企画はガイ・リッチーが監督を務める予定だったそうで、その後降板してしまったリッチーの穴を埋めたのが彼の親友でありリッチー作品のプロデュースも手掛けていた本作の監督マシュー・ヴォーンだという事らしいです。そしてこのエピソードは、2021年の年末に初めて本作を鑑賞した自分としては非常に腑に落ちるものでした。と言いますのも、「ロンドンの暗黒街を舞台に、麻薬ビジネスで成功し引退を決意する主人公が、複雑に入り組む裏社会を前に最後の仕事に打って出る…」って、その話、日本では2021年5月公開のガイ・リッチー監督作『ジェントルメン』(2019)そのものではありませんか!つまりあの作品はガイ・リッチーにとっての”15年越しのリベンジ”であり、セットで観ると双方の面白さも倍増すること間違いなしです。そして本作のもう一つの注目ポイントは、6代目ジェームズ・ボンド襲名前夜のダニエル・クレイグ!『カジノ・ロワイヤル』公開の2年前ですが、この時点で彼は既にボンド役に必要とされる「クール/セクシー/ダーティー/エレガント/ジェントル」の項目で綺麗な五角形が描けてしまっています。『カジノ・ロワイヤル』にも通ずる若々しいアグレッシブな姿も魅力的ですし、あの”闇と色気のある目”はいつ見ても堪りません。 また『ジェントルメン』が洒落たスタイリッシュなコンゲーム映画だったのに対し、本作は『グッドフェローズ』からの血脈が端々から伺える「血生臭く泥臭い90年代風ギャング映画」に仕上がっています。これは明らかに監督がマシュー・ヴォーンへとバトンタッチされた後に組み上げられた構成だと思われますが、本作は脚本を原作者のJ・J・コノリーが直々に執筆しているだけあってこの作風も決して見掛け倒しには終わっていません。ただあえて言えば、本作は前述した通りマシュー・ヴォーンが雇われ仕事として仕上げた作品な訳で、『キック・アス』や『キングスマン』といった彼のセンスと作家性が大炸裂した作品を既に観ている身としてはいまいちテンションが上がり切れませんでした。何でしょうかね、マシュー・ヴォーンの顔すら知らないのに、マシュー・ヴォーンがひたすら淡々と仕事を熟す姿はありありと目に浮かびます。ただそんな状況下でもこんな作品を作っちゃうんですから、彼の腕の確かさは認めざるを得ません。2度目以降で面白さが増すタイプの作品でもありますし、次こそは『ジェントルメン』とセットで観直そうと思います。 もうアンタがボンド映画撮っちゃいなさいよ。