
ロアー
4.5

Intolerance
Movies ・ 2021
Avg 3.7
Oct 09, 2021.
ものすごい眠気でひたすら昏々と眠り続け、あやうく勿体なく終わりそうだった日曜日に急遽行ってきました。自力では行けない映画館でしか上映がなく、もう観れないだろうと諦めてたのでホントギリギリで行けて良かった。 最初から決して明るい気分で映画館を後にできない映画だと覚悟していたものの、観客に息もつかせぬほど、とにかくずっとずっと苦しい映画でした。 事故に遭った娘、その父、スーパーの店長、パートのおばさん、全員が全員それぞれ私の大嫌いなタイプの人種で、映画を観始めてすぐに、これ私大丈夫か?耐えられるか?という自問が始まりました。それだけ登場人物の描写や演技がリアル。リアル過ぎる故に辛かった。 誹謗中傷を浴びせる部外者や自分たちの都合の良いように話をでっちあげるマスゴミもあまりに最低で、人間の浅ましさがホント嫌になる。 白と黒で割り切れない状況に陥って、誰も彼もどうしたらいいのか分からないまま自分自身を責め相手を責め、どこにも正解がなく途方に暮れるしかない絶望感、怒り。感情がこっちにまで伝わってきてずっとずっと苦しい。なんせ、登場人物全員の感情がぶつかってくるんだから、観てるこっちは満身創痍で息も絶え絶えです。 謝ったからと言って解決することでもなく、ただどうにかして折り合いをつけるしかない。ひたすら疲れ切るまでもがいて、なんとか自分なりの方法で受け入れるしかない。 そんな苦しい状況の中、藤原季節演じる野木の優しさがすっごく救いだったし、片岡礼子演じる母の誠実さにはっとさせられました。 全員素晴らしい演技だったけど、中でも古田新太の怪演はやっぱりすごかった。演技だと忘れて、本当にその存在が怖いと感じてしまう類の役者さんでした。そんな恐ろしいとすら思った男の心境の変化、素直な言葉。 ずっと詰めていて苦しかった息を、ふっと吐けたラストに気が緩んで泣けました。