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アリちゃんパパ

アリちゃんパパ

3 years ago

4.5


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Minamata

Movies ・ 2020

Avg 3.7

水俣病の悲惨さを写真で世界に訴えた写真家ユージン・スミスの水俣での活動を描いたヒューマン映画の傑作です。 本作が優れているのは、水俣被害を声高に訴えるだけでなく、静謐で美しい映像と坂本龍一のメロディアスな音楽によって水俣病の悲惨さを際立たせている所です。 そしてチッソによる様々な妨害行為を描くことでエンタメ性を持たせ、商業映画として成立させているところが立派だと思います。 癖のある過剰な演技に走りがちなジョニー・デップですが、本作ではユージン・スミスが乗り移ったような繊細で堅実な演技を見せてくれました。特に脳性麻痺の女の子を抱きかかえながら、優しく歌を歌うシーンの慈愛に満ちた表情には、泣かされました。これは僕が知る限り、ジョニー・デップの最高の演技だと思います。 真田広之、浅野忠信、加瀬亮など日本人の俳優が皆良い仕事をしています。とりわけチッソの社長を演じた國村隼の屈折した感情表現は、見事という他はありません。 本来なら日本人が作るべき本作をアメリカ人が作ってくれたことに、心から感謝します。