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No Other Land
Avg 3.8
原題の「No Other Land」はパレスチナ人にとって故郷が唯一無二であり、それ以外に生きる場所がないと言う想いが強く伝わってくる。 ヨルダン川西岸に暮らすパレスチナ人(アラブ人)のバーセルは父が活動家だったこともあり、幼い頃から破壊される様子をカメラに収めていた。 そんなバーセルが出会ったのがイスラエル人のジャーナリスト、ユヴァル。 自国イスラエルの行為をパレスチナ人のバーセルと一緒に世界へ発信するが、その後も混沌とした状態は変わらない…そんなストーリーです。 この作品は第97回のアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を獲得。 争うパレスチナ人とイスラエル人の友情を描く…なんて言ってられないし、中身はとても苦しく理不尽な映像が押し寄せてくる、そんな内容でした。 パレスチナがヨルダン川西岸とガザ地区に分けられてイスラエルの強硬姿勢に苦しめられているのは映画『オマールの壁』でも描かれていた。 今回は2019年から2023年の10月までカメラで撮り続けてきたバーセルと手伝うユヴァルを追いかける。 突然、軍の訓練場整備のために重機が入り次々と家を壊すイスラエル側。 それはその後、子ども達が通う学校や家々の水道やトイレ、ライフラインまで壊していく。 何度も抵抗したりデモ行進をするバーセル達住民。 衝突は激しくなり銃で撃たれる住民も出る。 山地なので家を失うと洞穴に暮らすようになる。 そして夜に家を建て直しても日中になると次々に壊される。 発電機や大工道具まで奪われるパレスチナ人たち。 ここまで非道なのには言葉も出なかった。 そもそも立場が違うバーセルとユヴァル。 迫害に意気消沈していくバーセルの気持ちが伝わってくる。 帰る家があるユヴァルに対して、「俺達は何十年も闘っている」と言うバーセル。 「彼ら(イスラエル人)は僕らの人権を奪った」 「今の彼らは強い軍隊と技術力がある」 「でも弱かった時を忘れるべきじゃない。苦しんだ時を忘れてはいけない」と言うバーゼル。 このシーンは本当に心に残る。 結局この後、2023年10月。 (つまりバーセルの撮影が途切れた時) パレスチナのイスラム組織ハマスがイスラエルを奇襲。 イスラエルは報復としてガザ地区を攻撃、多くの犠牲者を出す。 ちなみにNHKBSで現在の対立のドキュメンタリーを観たが、子ども世代にまで「アラブ人を殺す」と言うイスラエル人の子ども。 「殉教したい(敵を殺して天国に行く)」と話すパレスチナ人の子ども。 そんな姿にはどちらも解決に向かうのは難しいと感じた。 特にネタニヤフとトランプの思想ではますます難題になっている。 アラブ人とユダヤ人の対立は長い歴史があるけれど、今のイスラエルのやっていることはホロコーストと変わらないと思った。 とっても重い実録ドキュメンタリーだった。 暮らしている土地を次々と奪われるパレスチナ側。 どんどん入植して土地を奪うイスラエル側。 誰が解決に導けるのだろうか。 あまりにも無情な映像を前に、これからも知っていく大切さは忘れないです。