
cocoa

Everything Went Fine
Avg 3.5
フランス語の原題は「Tout s'est bien passé」。 「すべてがうまく行った」とか「すべてが順調だった」などの意味で過去形。 フランスの名匠フランソワ・オゾン監督が脚本家のエマニュエル・ベルンエイム氏の自伝的小説を映画化。 (だから主人公の名前もエマニュエルなのか…) そしてエマニュエルを演じるのがソフィー・マルソー。 撮影時は55歳位だと思うが、とっても良い年の取り方をしていて素敵だった。 85歳になる父アンドレが脳卒中で倒れたと連絡がある。 病院に駆けつけた娘エマニュエル(ソフィー・マルソー)。 妹パスカルと父の今後を心配する。 そんな父が発する言葉は「終わらせてくれ」。 好き放題に生きてきた美術商の父は最後まで自分の意志を貫こうとする。 気持ちが大きく揺れるエマニュエル。 安楽死協会を調べながら、決断をしなくてはならない。 そんな父と娘たちのストーリーです。 安楽死をテーマとしたフランス映画は『母の身終い』や『92歳のパリジェンヌ』などを観ているけど、それぞれ家族の苦悩を描いていましたが、今作はそれ以上に父親の本意に振り回されるエマニュエルの苦悩が大きかった。 オゾン監督らしいユーモアも散りばめながら、現実に戻される構成も良かったです。 それはやっぱりソフィー・マルソーの演技だと思った。 子ども時代の父との思い出を描きながら、父と母クロード(シャーロット・ランプリング)の関係の歪みも物語る。 決して別れなかった母クロードは現在はパーキンソン病と鬱を患う。 剣のある苦痛に満ちたシャーロット・ランプリングの表情がすごい。 父から安楽死を言われたエマニュエルが街をさまよい、一人で問題を抱えて苦悩する姿が印象に残った。 妹のパスカルとは良好な姉妹関係だと思ったが、妹は妹。 スイス、ベルンには同行しない、とハッキリ言われる。 安楽死を考えていることを誰かに通報されて警察に出頭する姉妹。 もちろんフランスでは法に触れるので慎重に進めなくてはならない。 最後はスイスで見届けるはずだったのに、この警察出頭から父アンドレが先に行くことに。 翌日、無事に終わったと連絡を受けたエマニュエルの涙…。 思わぬうちに終わったこの計画に対して何を感じたのだろう。 好きに生きて最後まで我が道を貫いた父アンドレ。 「生きる」と「延命」は違うと話したアンドレの気持ちは娘に伝わったのだろう。 「安楽死」については昔から賛成です。 ただ、今作の父アンドレはまだ外食をしたり、周りの人間との関わりが健在。 動けず、話せず、閉じ込められる難病などとはちょっと違うと思った。 それからちょっと前にドキュメントで観た日本人女性の安楽死が今でも心に残っています。 学齢期の娘さん2人とご主人を残してスイスで安楽死された女性の揺るぎない準備と別れの覚悟。 最期の瞬間は観ていて苦しくなったけど、見送り方と見送られ方が見事で圧倒されました。 今回の映画はいかにもフランス的だった。 自分の意志を貫くやり方もフランスならでは、そんな感じ。 それにしてもソフィー・マルソーは素敵だったな。 青いニットやシャツ、ソフィーの柔らかな表情に似合っていました。