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原題は「Lilting」で「軽快な、うきうきしたリズム」って感じらしい。 今回の邦題は内容にマッチした美しいタイトルです。 イギリスの老人ホームに暮らすカンボジア系中国人の高齢女性ジュン。 一人息子カイ(アンドリュー・レオン)の訪問をいつも楽しみに待っていたがカイは突然の事故死。 カイの恋人の男性リチャード(ベン・ウィショー)がジュンを訪ね、お互い喪失感で悲しみながらカイを想う…そんなお話。 オープニングの「夜来香♪」…かつて山口淑子さんが歌った中国の歌謡曲に合わせ、ジュンの姿を追います。 訪ねてきたカイとお喋りしていると、ホームの職員が入ってきてベットに寝転ぶカイを認識せず、そしてカイの姿も消える…。 この何気ない 、しかし意味のある短いシーンが印象的でした。 ジュンは英語が分からずイギリスに居ても馴染めずカイが支えだった。 カイの友だちリチャードを嫌っていたのは嫉妬心からか。 カイがゲイでリチャードは友だちではなく恋人だとは生前にカミングアウトしなかったので、母親ジュンの気持ちの揺れは大きかっただろう。 分からず屋なイメージ通りのジュン役、チェン・ペイペイの演技がとても巧かった。 そしてカイとリチャードのベッドでのシーンが美しすぎて…。 ベン・ウィショーの繊細な表情もとても惹き付けられました。 言葉が通じないジュンとリチャードが亡きカイの部屋でカイの匂いを感じるシーン。 これからも生きていく決意をしながらあっという間にジ・エンド。 短いお話でしたが映像もきれいで味わい深い作品でした。 007の「Q」とは違ったベン・ウィショーの魅力を感じられました。
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