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2019年56本目は『サウルの息子』でアカデミー外国語映画賞を受賞したネメシュ・ラースロー監督の放つ新作『サンセット』。 これがもう本当にイライライライラする映画でした。主人公のイリスはひょんなことから自分に兄がいることを知り、その消息を追い始めます。イリスは黙っていられない性格なのか、周りの人間に「ここにいなさい」「やめなさい」と言われても全く聞く耳を持たずあちこちに顔を出してはトラブルに巻き込まれます。 そして兄のことを尋ねても誰一人まともに取り合ってくれません。本作は2時間半の長尺ですが、一生「どこかに行く」→「無視される」→「トラブル」→「なんとか帰宅」→「どっか行く」…の繰り返しで飽きてきます。 『サウルの息子』同様、今回も主人公に限界まで寄って後ろをぼやかす独特のスタイルを取っていますが、それが主人公の置かれた極限の状況とリンクしていた前作と違い、まるで効果を発揮していません。時代に翻弄される一人の人間を描きたい狙いはわかるものの、あまりに観客の想像に頼りすぎていて冗長に過ぎます。
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