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3時間の超大作だが、アデルのどこにも馴染めない、どこにも居場所が無いような目が無防備に色っぽくて、エマの直情的な感情が魅惑的で、最後まで飽きずに観られた。 アデルと友人が言い争うシーンがやけに生々しいなと思ったら、役者達は台本を1度しか読ませてもらえなかったらしい。 私が思うに、アデルは同性愛者とは言いきれない気がする。 ごく普通に男性のことを好きだった人生の中で、一目惚れしてしまった相手がたまたまエマだった。 そこから性別の垣根を越えて愛を貫く人間を同性愛者と呼ぶのかもしれないが、アデルのことは簡単にレズビアンと呼べない気がする。バイでもない。 彼女は偶然にも女性であるエマに一目惚れしてしまっただけなのだ。 だからこそ、レズビアンに差別的な視線を向ける友人の中でも、同性愛者が集まるゲイバーやデモの中でも、アデルのあの居心地の悪そうな、不安げな瞳が映えるのだと思う。 フランス映画はテーマカラーを大事にするイメージがあるなぁ。 エマと別れたアデルが思い出のベンチに座って俯くシーンにだけ、どこにも青が無いことが印象的だった。
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