
てる

Floating Weeds
Avg 3.7
教科書のような作品でした。やっぱりこの時代の作品って面白いのかどうかわからない。バッドエンドなのかハッピーエンドなのかはっきりしない微妙な終わり方をする。そんなものを求めるのは、無粋なのかもしれない。だけど、わからないものはわからないのだ。 小津作品の中では、テンポが早く、感情の起伏が大きい作品だと思う。と言っても小津安次郎を語れるほど、作品を観ているわけではないのだけど。小津作品といえば、真っ正面からのフィックスの画だ。今回も例に漏れず、その独特な画作りではある。でも、小津作品はいつもゆったりした時間の流れで、声を荒げるようなイメージがなかった。今回は愛憎劇で、ドラマチックな要素が多いように感じた。 現地妻に産ませた子どもは育ちが良く、賢い。それを自慢に思っていた団長。だが、嫉妬に狂った女がハニートラップを仕掛けて、まんまと策略にはまり、若い二人はすっかりその気になってしまう。怒った団長だが、息子に言われた言葉がショックで、出ていってしまう。 なんと言うか、非常にドラマチックで人間臭い。現代であれば、もう少し違った結末になったことだろうが、この時代ではこうなってしまうのだろう。それは、この時代に生きた人の思想や社会の仕組みがそうさせてしまっている。 率直な感想を言えば、団長がしっかりするべきだ。現地妻や息子、すみ子にけじめをとっていない。息子に仕送りはしていたそうだが、父であることを公言せず、旅役者という仕事をやり続けている。役者という仕事は録でもないため、父として彼の前に立つことが出来ないでいる。だったら、息子に胸を張れる仕事に就けばいいではないかと思う。すみ子との関係は不明だ。不明だからもやもやする。きちんと夫婦という関係性ならば、こんなことにはなっていないはずだ。劇団員の中にいる愛人くらいな中途半端な関係性でいるから、息子がいることも公言しないし、すみ子との子ども作らないし、嫉妬深くなるのだ。この男こそが浮草のようにふわふわしているからダメなのだ。しっかり大地に根を張っていなければ、息子に胸を張って父と公言することも出来ないし、偉そうに顔をひっぱたいても説得力も威厳もないのだ。 そう思うのは現代的な考え方なのだろう。男尊女卑で家長の父が最も偉いとされていたこの時代にそう思う人間はいなかっただろう。でも、だからこそドラマがある。正しいことを正しくやっているだけでは面白くない。そんな爺臭いことを考えてしまった作品だった。