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1927年のシカゴ、ある録音スタジオが舞台。 「ブルースの母」と言われた歌手、マ・レイニー(ヴィオラ・デイビス)とバンドのトランペッター、レヴィー(チャドウィック・ボーズマン)達の会話劇を通して、それぞれの黒人差別を描いたストーリー。 何も知らずに観たけれど、どこか「フェンス」を思い出したのはこれも「戯曲」なんですね。 それも「フェンス」と同じ劇作家オーガスト・ウィルソンの戯曲と聞いて納得。 どちらもヴィオラが出ています。 さて、個人的にこの手の作品は苦手かもしれない。 ただ、どうしてここまで傍若無人なマ・レイニーなのか、野心家で自信たっぷりのレヴィーなのか、その後の会話劇でわかってくる背景には考えさせられました。 ブルース歌手として成功したマ・レイニーの意地や尊厳が甥っ子贔屓だったり、録音するまで文句を言い続けたり、決して気持ちの良いものではないけれどヴィオラの演技でかなり強調されています。 ヴィオラのあのコーラの飲み方はあっぱれでした。 レヴィー役を演じたチャドウィックの調子の乗った会話やバンド仲間とのやり取りも圧巻。 仲間のトレドの言葉にはハッと気づかされます。 チャドウィックの遺作となりましたが、闘病を隠して何本も映画を撮った彼の生き様は感じられました。 ただ、やっぱり作品としては好みではないかも。 それよりも、チャドウィックのオスカーを確信し、勝手に主演男優賞発表をラストにして失態したアカデミー協会は無能でしたね。 協会員が増えた現在は前哨戦は意味ないし、封筒を開くまでは何が起こるかわからないのに。 それでもチャドウィック・ボーズマンには合掌です。
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