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2020年81本目は、名筆『若草物語』を新たな角度から再びスクリーンに蘇らせます『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』。 ------------------------------------------------------------ これほど絵的に美しい映画も久しぶりで、今が旬の若手をこれでもかと起用しまくった、まさに贅の極みを尽くす一本です。シアーシャ・ローナンはあらゆる賞レースを席巻しただけあって既に風格すら匂わせるたたずまいで、とにかく何をやらせても上手い。エマ・ワトソンはオックスフォード育ちの気品の良さもあいまったベストアクトを発揮し、最早「ハーマイオニーブランド」から完全に脱却しています。 ------------------------------------------------------------ 『ミッドサマー』の熱演も記憶に新しいフローレンス・ピューは、じゃじゃ馬な末娘役を見事に乗りこなしてアカデミー助演女優賞にノミネート、確実にステップアップしました。シーンとしては少ないながら、周囲にとって「癒し」であったベスを好演したエリザ・スカンレンも青田買い間違いなしの存在です。そして彼女たちの側に佇むは、プレイボーイのアイコンになりつつあるティモシー・シャラメ。みんな単に年が若いだけで、経験値は尋常じゃないレベルですね。 ------------------------------------------------------------ 四姉妹それぞれに割り振られた緑・赤・白・青の服飾も目に鮮やかで、各々の心情とリンクするように画面を彩ります。過去と時間軸を交互に進行させ、女性が自立して生きることの難しさ・価値観の押し付けに苦しめられる様子がまざまざと浮かび上がるように設計されたプロットも見事ですし、現代にリメイクする意義がちゃんと見出だせてるのはホントに素晴らしかったです。 ------------------------------------------------------------ ラストの落としどころも「ズルいなぁ!」とニヤついてしまうぐらい爽快で、正直なところ隙が見当たらない、2時間心が潤いっぱなしの一作でした。これをやってのけたのが若干36歳の女流監督グレタ・ガーウィグなわけですから、何だか時代が動くのを目にした気分です。
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