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直近で劇場公開・配信された新作をレビュー、今回取り上げるのはロバート・ゼメキス監督の最新作『魔女がいっぱい』。 ------------------------------------------------------------ アン・ハサウェイの熱演は光っていましたし、予想以上にグロテスクな見た目の魔女たちによる視覚的なインパクトもなかなかです。衣装も華やかに煌めいており、ファンタジックな世界に浸ることは可能でしょう。しかし、原作は『チャーリーとチョコレート工場』のロアルド・ダールなわけですから、至極真っ当なジュブナイルで終わるわけがありません。結末は非常に後味が悪いです。 ------------------------------------------------------------ 魔女の魔法でネズミに変えられてしまった子供たちが、中盤であるとんでもない「選択」をするんですけど、これがサッパリ理解できません。無理に解釈すれば「人は見た目に左右されるのではなく、どう生きるかが大事なんだ」というポジティブなメッセージを受け取ることもできるかもしれません。 ------------------------------------------------------------ ところがその一方では魔女が奇形の手足を備えた、完全なる「化け物」として醜悪に描かれるため、伝えたいこととビジュアルがまるで一致しないんですね。原作が書かれたのは1983年で今から30年以上前ですが、時代性や社会性を無視したままストレートに映像化しただけで、正直なところ何の工夫も感じられない凡作だと思います。
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