
てっぺい

Color Me True
Avg 3.3
Feb 10, 2018.
【映画は生き物。溢れる映画愛】 モノクロ姫のインパクトや切ないラブロマンスはもちろん、構成力も光る。映画を生き物として扱う、名作映画へのオマージュもふんだんな、映画愛に溢れた作品。 ◆ 『ハッピーフライト』を担当していた稲葉直人プロデューサーが、漫画や小説の実写化ではないオリジナルの作品がしたいと9年前に発案したものらしい。 出演は、『海街diary』で日本アカデミー賞主演女優賞受賞の綾瀬はるか、『64-ロクヨン-前編/後編』で日本アカデミー賞新人俳優賞受賞の坂口健太郎。監督は、『テルマエ・ロマエ』シリーズの武内英樹。脚本は『信長協奏曲』の宇山佳佑。 ◆ 全体的に漂う名作映画へのオマージュ感。姫が街で散々お転婆する『ローマの休日』や、映画館での映画を愛して止まない『ニュー・シネマ・パラダイス』感。多分その他にもたくさんあると思う。製作側の映画愛が十分に伝わってきた。 時代を交錯する構成も素晴らしい。ネタバレになるので書かないけど、過去を回顧する現代のおじいちゃんと、当時の時間軸の2つでのありきたりな構成かと思いきや…想像を超えてきた脚本力でした。 特筆したいのが、姫(綾瀬はるか)が映画を飛び出してきた訳を健司(坂口健太郎)に話すシーン。姫の目線で、次第に減っていく観客、フィルムに廃棄印を押されるシーンから、埃をかぶったフィルムを健司が見つけるシーンが綴られる。まるで“映画が生き物”として扱われていて、その“生き物からの目線”としての描写に気持ちが入っていく不思議な感覚だった。自分が映画好きなのも理由なのか、これがこの映画から受けた強烈な感情だった。 姫の衣装も様々に変化していて(どこから準備してきたのかという話は置いといて)、『ローマの休日』には出来なかったカラフルな姫の華やかさを実現出来ていたと思う。 ◆ 残念だったのは… ファンタジーなので、色んなことがファンタジーとして片付けられてしまう中、どうしてもこだわって欲しかったのが、現実世界でのモノクロの表現。一部ファンデーションが取れてモノクロの肌が露わになるシーンのグレーは、映画から飛び出した時のそれとは全然違うただの暗いグレーだった。ちょっとした事だし技術的な事ではあるけど、現実×モノクロ映画の交錯がこの映画の大事なオリジナリティなのに、徹底すべきところで出来てなかったと思う。 また、カラー×モノクロの映画ビジュアルにインパクトがあるだけに、映画の中身でモノクロの姫のシーンを多用してくれていたら、もっと楽しめたのに、とかなり残念。