
dreamer

Tess
Avg 3.3
この映画「テス」は、トーマス・ハーディの原作「ダーバビル家のテス」をロマン・ポランスキー監督が映画化した文芸大作です。 トマス・ハーディは私の好きな作家の内の一人ですが、その暗い、宿命論的な色彩の強い写実主義の作品には魅かれるものがありますね。 19世紀のイギリス。片田舎の貧農の娘テス(ナスターシャ・キンスキー)は、遠縁のダーバビル家に奉公に出され、そこの息子アレックに私生児をはらまされ、実家に帰って来ますが、生まれた赤ん坊は死んでしまいます。 やがて、テスは純情な青年エンジェルと愛し合い、結ばれますが、その過去を告白したばかりに、エンジェルは傷つき、旅へ出てしまいます。そして、残されたテスは、妹たちの面倒をみてもらうという条件で、再びアレックの女になってしまうのです----。 そこへエンジェルが帰って来ますが、絶望したテスはアレックを殺して、エンジェルと共に逃亡の旅に出ますが、その幸福も束の間、ストーン・ヘンジの遺跡で眠っている所へ警官がやって来て、テスは従容として縛につきます。 若干の変更はあるものの、ほぼ原作通りの展開。原作ではこの後に、テスが死刑になった事が語られています。 このように、テスの流転の人生を、きめ細かに描き出した文芸作品で、この撮影中に急死した撮影のジェフリー・アンスワースとジスラン・クロケのカメラに捉えられたヨーロッパの緑の大地、その色彩と絵画的な美しさには息を吞まされます。 そして、その見事に映像の中に溶け込んだヒロイン、テスを演じたナスターシャ・キンスキーの存在感。 ロマン・ポランスキー監督は、2時間50分のこの大作を、正に大地を一歩一歩踏みしめるように、確かな足取りで描き切っていると思う。 いわば、この作品は文学の映像化を超えた、"映像による文学"とでも言いたい傑作だと思う。