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dreamer

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4 years ago

4.0


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The Beast to Die

Movies ・ 1980

Avg 3.3

この村川透監督、丸山昇一脚本、松田優作主演の大藪春彦原作の「野獣死すべし」は、1959年に須川栄三監督、白坂依志夫脚本、仲代達矢主演で東宝で映画化された作品のリメイク作だ。 秀才だと折り紙つきの学生が、完全犯罪に挑む作品で、自分の才能とそして完全犯罪者としてのヒロイックな気分に酔いしれる事が目的のこの男が、まず狙ったのは母校のおびただしい入学金の山だった。 日本におけるハードボイルド小説の源となったこの原作による、1959年の最初の映画化作品では仲代達矢が、ギラギラするような主人公を熱演していたが、今回のリメイク作は、公開当時の1980年代に合わせて大胆に脚色していると思う。 主人公は伊達邦彦には違いないが、どこかまだひ弱さの残る原作のそれではない。 鷹見徹夫、西城秀夫と並ぶ大藪春彦作品でお馴染みのスーパー・ヒーローに変身しているのだ。 だから、原作の持つユニークな味は消え、その後、続々と生まれた和製ハードボイルド作品と何ら変わり映えしなくなったのは惜しまれる。 この映画に登場する伊達邦彦は、通信社の元カメラマンで、かつてはアンゴラ、レバノン、ウガンダなどの内戦を取材して歩き、現在はフリーの翻訳家。 頑健な肉体、戦場で覚えた巧みな射撃術、冷徹な頭脳、時には甘く、凄味のあるマスク。そして孤独。 この男が、暴力団の賭博場を襲い、テラ銭の三千万円を強奪する。 しかも、警視庁の捜査一課の男を殺して奪った拳銃を使って。 そして、この資金をもとに、やがて彼は東洋銀行を襲撃し、大金を奪って逃げる。 権力や富、安泰の上にあぐらをかく者を憎み、殺す。 冷酷でニヒルで女がほおっておかない、カッコいいスーパー・ヒーローを演じるのは、松田優作。 凝りに凝った、何かに取り憑かれたような、鬼気迫る演技が実に素晴らしい。 恐らく、この役を演じ切れるのは、松田優作か若き日の渡哲也くらいなものだろう。 そして、村川透監督の切れ味鋭い演出も見逃せないが、これは彼の松田優作とコンビを組んだ「蘇る金狼」に続く、大藪春彦シリーズの第二弾で、まさに息の合ったコンビぶりを見せている。 そして、この映画は脇役陣も見どころ満載で、殺された警部補の部下に扮した室田日出男、仲間に引き入れられ、恋人をも射撃の標的にするという、これまた冷酷無惨な男に扮した鹿賀丈史が存在感を示し、また、彩りとしての小林麻美、根岸季衣もなかなか良かったと思う。