
cocoa

Worth
Avg 3.4
原題も「Worth」。 「価値」とか「値段」の意味。 2001年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロの被害者に補償金を分配した弁護士たちの奮闘を描く実話ベースの社会派ドラマです。 事件や事故の被害者救済の補償は国によって様々な実態があると思うが、何と言ってもあの同時多発テロは規模が大きかった。 連邦議会で話し合う内容がとてもリアルに伝わってきた。 被害者全員から訴訟を起こされたら航空会社や企業は立ち行かなくなる。 まずやるべきは企業の救済、米経済の救済、まさに国家の危機だと言う認識…。 そこには被害者への真の救済は見えなかったが、これこそが訴訟大国のアメリカなんだと思った。 主人公のケン・ファインバーグ(マイケル・キートン)はエリート弁護士。 過去にも大きな訴訟問題を何度も片付けているやり手。 彼のオフィスには歴代大統領との写真も飾られ、様々な事件や事故の被害者への補償のため「人間の価値、値段」を算出するプロということ。 マイケル・キートンが演じるから「ファウンダー…」の狡猾なイメージもあり、キャスティングが絶妙に感じた。 国のお金で被害者への補償基金プログラムを設立。 その条件は提訴権の放棄と言うのがシビア。 その「汚れ仕事」を無償で引き受けるケンを最初は計算高くステータス欲しさな人間に思えたのはすべて「ファウンダー」のせいとしておこう。 さて、ケンの仕事上のパートナーが弁護士カミール(エイミー・ライアン)。 彼女も仕事が出来る女性だが、その後多くの被害者との面談で気持ちが動いていく。 さらに一番良かったのが、自身も同時多発テロで奥さんを亡くし、国の補償基金プログラムについて修正を求める男チャールズ・ウルフ。 演じるのはスタンリー・トゥッチ! 『スポットライト 世紀のスクープ』のガラベディアン弁護士を彷彿させる存在感がとても良い。 チャールズの登場シーンから最後まで釘付けでした。 被害者への補償金の説明で、 「補償金は収入から計算されるが、それとは別に全死亡者に最低額を支払います。その額、20万ドル(約3000万円)。」 それを聞いた移民たちは金額の多さに喜び、反対に投資家など高額所得者は少なすぎると不満を強く訴える、そんなシーンはとてもリアルだった。 確かに人の命を換算するのはハードな仕事。 こんな汚れ仕事をする人間が必要だと言うのは伝わってきた。 ケンとカミールの事務所では様々な被害者遺族との面談が進むのですが。 普段は面談を担当しないケンの聞き取りはやり方を知らないし進行がぎこちない。 プログラムの存続のために申請者80%を目指すばかりで、被害者たちには目を向けていなかったケン。 それでも一人一人の事情がわかってくると考えが変わっていき、さらにチャールズとの会話で大切な事に気づくのです。 圧倒的に人望があり信頼されているチャールズ。 そのチャールズに対して真正面から話ができたケンだから歩み寄りができたのだと思った。 企業や国家の危機と考えた連邦議会などの思惑はともかく、実際に被害に合った人達を救えたのは弁護士たちの尽力だろう。 道義的に正しくないことは変えるべき、と言ったチャールズの言葉。 一度は基金を終了したが、また再開し 長期の健康被害に苦しむ人々の救済を続けているとのこと。 日本における被害者救済の実態がどうなのか考えてしまう。 真実を知るために裁判を起こすとお金目当てと思われてしまうなど、まだまだ発展途上なのだろう。 こういう社会派の作品は本当に見応えがある。 こんな映画が作れるのは凄いし、評価したいと思った作品です。