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ジェイムズ・サリスの小説を原作とし、ニコラス・ウィンディング・レフン監督が映画化した2011年のアメリカ映画 ・ 天才的なドライブテクニックを武器に、昼は映画のカースタント、夜は強盗逃し専門の運転手をしているドライバー(ライアン・ゴズリング)。ドライバーはアイリーン(キャリー・マリガン)に秘かに思いを寄せていたが、彼女には服役中の夫スタンダード(オスカー・アイザック)がいた。ある日、服役から戻ってきたスタンダードがガレージで血まみれで倒れている姿をドライバーが目撃し・・・。 ・ カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞したニコラス・ウィンディング・レフン監督。 個性的な映画監督を輩出するデンマークの監督だけに、この監督も独特な世界観を持っている。こういった雰囲気重視の作品では、センスの良さが何より大切だと思うけど、この監督のセンスは素晴らしい。無音のシーンが多く、緊張感を生み出しているし、それが音楽を活かしている。スローの使い方や長回しといった撮影方法も面白い。ひと昔前の作風なんだけど、一周して新しい。音楽もひと昔前のエレクトロ・ポップを意識した音なのがかっこいい。「A Real Hero」って曲なんか映画の雰囲気にぴったりだ。何よりも、音楽を担当しているのが、元レッチリのクリフ・マリティネスだっていうから最高だ。 ・ とにかくクールな雰囲気の作品の主人公であるドライバー(名前がないのがまたまたクール)を演じたライアン・ゴズリング。「ラースと、その彼女」や「ブルーバレンタイン」での演技も印象的だったが、今回はひたすらかっこいい。寡黙で優しく謎めいた男。これは女子が黙っていない。ゴズリングの役でも一番かっこよかったかも。ヒロインのアイリーンを演じたキャリー・マリガン。「17歳の肖像」で骨抜きにされたが、やっぱりかわいい。もちろん演技が評価できてかわいいから好きなんだけど、演技が下手でも好きかも。悪役で悪役顔のロン・パールマンが出演しているのも嬉しい。 ・ 決して万人受けするタイプの作品ではないが、独特の緊張感と過激なバイオレンス、静けさからのサウンドなどは、ハマったらとことんハマる感じだろう。80年代の映画と音楽を感じさせるのは、監督の青春時代が80年代だからだろうし、そういった自分の中のものを、こういった現代風の作品に昇華できるのはすごいことだ。ニコラス・ウィンディング・レフン、ライアン・ゴズリング、キャリー・マリガン、この人たちの今後の活躍が楽しみで仕方が無い。
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