Comment
星ゆたか

星ゆたか

2 years ago

3.0


content

Mothering Sunday

Movies ・ 2021

Avg 3.3

2023.11.13 原作者グレアム・スウィフト氏(49年出生)が。“最良の想像的文学作品”に与えられる〈ホーンデン賞2016〉受賞した「Mothering Sunday」の映画化。 監督は女優としてキャリアスタートのエヴァ・ウッソン(77年出生)さん。 主演のオデッサ・ヤング(98年オーストリア出身)さんとジョシュ・オコナー(90年出生)さんのアップの表情と語りで映画が始まり。 絵画のようなイギリス風景、そして建物の中の端正な調度家具。 さらに登場人物の衣装(サンディ・パウエル嬢担当)。 そしてアカデミー賞受賞スターのコリン・ファース(60年出生)さんとオリヴィア・コールマン(74年出生)さんの顔を見て。『この映画好きかも…』と始まって間もなく思えた。 1924年3月イギリス中のメイドが年に一度だけ里帰りできる〔母の日〕。 そんな取り決めがあったんですね。 第一次世界大戦後の時代です。 主人公のジェーンは孤児院あがりなので、メイド仲間のミリーを駅まで見送り。 自分は当主に『自転車で遠での散策』と言って。 実は少し前から家同士の付き合いのある、シェリンガム家のポールに呼び出されていた。 ポールは幼なじみのエマとの結婚が決まり、その祝いの昼食会を遅刻する気持ちでジェーンとの逢瀬を試みようとした。 メイドと跡取り息子の秘密の恋である。 この両家はどちらも二人の息子を戦争で亡くしていて。 シェリンガム家とニブン家の両親。 特に母親のその悲しみの受け止め方が違い。 オリヴィア・コールマン演じる母親は。 画面に登場した時から暗い悲しみの忍従の表情で。 この昼食会でポールが中々現れない事で、その日頃の悲しみを一気に爆発させる。 しかしその思いは両家と婚約者の両親の三家とも同じで。 何とか結婚の祝い事で悲しみを克服しようとしているのだ。 エマという女性はかつてポールの戦死した兄と恋仲でもあった。 劇の中盤に差し掛かるまでの昼前後の時間に。 これまでのジェーンとポールのなり染めの“過去”。 そしてその後作家になるジェーンの、それこそ二十代から四十代にかけての(後に愛し逢う黒人のドナルドとの)。 現時点からは“未来”の場面が、複雑に交互に入り乱れ描き進められていく。 そしてその後の、現時点のポールの劇的な運命の暗転を迎える。 ヒロインのオデッサ・ヤングさんは、この年齢の変化(20代から40代)を 特殊メイクで演じ分けていた。 そしてポールとジェーンの逢瀬の場面でも。 お互いの服を脱ぐ着る様子もじっくり、時の流れ(官能愛の極み)を“いとおしむ”かのように見せる。 また観客心理としては、何故かとても落ち着かないのが。 ジェーンがポールが遅れている昼 食会に出かけた後でも。 一糸まとわぬ裸のまま屋敷内を歩き回る場面だ。 ここは彼女の〈自由を求める心〉を大胆に表現した所であり。 またその後ニブン家の婦人に言われる言葉を。 《この身一つ、これから手に入れてゆくだけ、失うものは何もない、生まれた時に奪われていた。だから貴方は幸せよ。》 形容化しその意図を象徴させているのだろう。 そう思えば少し納得するが、私の性格から考えると。 この邸内の物色から簡単なつまみ食いまでするあたりは。 やっぱり服を着てからでしょう。 本題に戻ります。 彼女は人生において特に二人の男性との出逢いを上げていて。 二人目の黒人男性が脳腫瘍で亡くなる頃には。 『私に傑作を書かせるために愛する男が死ぬの。』と嘆くが。 ポールが現実とも幻想とも思える場面で語る言葉に。 『記憶を呼びお越し それを描写して自分のものにする そして言葉で再現する 君なら出来る やってくれよ 僕らのために 君のために…』があった。 作家という職業たる所以かも知れない。