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【キスシーンで泣ける映画】 名作の名に恥じない、溢れる映画愛と感動のラスト。キスシーンで泣く、初の映画体験笑。どんなに時代が移り変わっても、映画という娯楽が力強く生き続ける事を証明する一本。 ◆概要 アカデミー外国語映画賞・カンヌ映画祭審査員特別グランプリ受賞作品。監督は「海の上のピアニスト」のジュゼッペ・トルナトーレ。音楽はエンニオ・モリコーネ。主題歌「Cinema Paradiso」は、多くのアーティストにカバーされる名曲。173分ディレクターズカット版と122分の短縮版が存在。短縮版では「パラダイス座」が物語の中心、長尺版では主人公の人生に焦点が置かれている。 ◆ストーリー 映画監督として成功をおさめたサルバトーレのもとに、老いたアルフレードの死の知らせが届く。彼の脳裏に、“トト”と呼ばれた少年時代や多くの時間を過ごした「パラダイス座」、映写技師アルフレードとの友情が甦ってくる。 ◆感想 これでもかと映画愛に溢れた一本。映画好きな自分にとって、こんなに“同志”な気分を味わえる作品はない笑。そしてラストに味わう、喜の感情でも悲の感情でもない、なんだかあたたかな涙。この映画にしか出来ない落涙の種類があると思う。 ◆映画好き トトがとにかく満面の笑みで映画を見る様子がたまらない。フィルムを溜め込んで、その一枚一枚でセリフごっこして遊ぶなんて、映画好きの極み笑。節々で、映画のセリフでトトを説いてしまうアルフレッドも間違いなく映画好きの骨頂。さらにこの時代を象徴する、まだテレビもラジオもなかった時代に、映画がどれだけ人々の大切な娯楽だったか。何度も何度も描写される映画館の人たちのキラキラした表情が見ていてとても微笑ましかった。何度も次のセリフを言い当ててしまうマニアは、今だと追放だろうけど笑。 ◆時代背景 前述の通り、映画を見るために何時間も並ぶほど、映画が圧倒的な娯楽の主であった時代。今では想像がつかないけど、アルフレッドが外に映写機を向けるとそこに人が殺到するほどの、映画がある意味貴重で大切だった時代を想像するのも、映画好きとしては悪くない。二階から唾を吐く富豪に見える階級差別が少し解消されていたり、朽ち果てたニューシネマパラダイスが、映画としてイタリアの時代背景を忠実に表現していたのかなとも思う。(新年に食器を割る風習はまだ残ってるんだろうか?) 本作では、映画館としては衰退してしまったものの、こうして今の世でも映画というコンテンツは力強く息づいているわけで、アンチテーゼとまでは言わないものの、この映画に溢れる映画愛が映画という娯楽が普遍であることの証明でもあるように感じる。 ◆ 以下ネタバレ ◆ ◆ラスト アルフレッドが形見としてトトに残したフィルム。それは昔トトにあげた、カット対象のフィルムのスクラップ。あのキスシーンの連続は、映画愛に溢れたこの映画のラストにとてもふさわしいし、アルフレッドとトトの友情や絆が見事に表現された完璧なラストだったと思う。キスシーンを見ながら泣いたのは初めてかも知れない笑。 午前十時の映画祭10にて鑑賞。ホントにファイナルなのか…こんな映画体験をさせてくれる機会、まだまだ作って欲しいのだけど…
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