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コウキマン

コウキマン

2 years ago

3.5


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The Painted Bird

Movies ・ 2019

Avg 3.5

2022.11.17.124 ネタバレあり 第二次大戦中、ユダヤ人であるがために両親から疎開させられた少年。そこで様々な苦難が少年を襲う。ある時は土に埋められ、ある時はドイツ軍に捕まり、ある時は犯され。純朴であった少年は、人々からの差別や暴力、虐待などによってだんだんと狂気が芽生えていく。セリフが少ない映画ながらも暴力等の描写は細やかで、ほとんど救いのない状況で変わっていく少年の様子に、暗い気持ちになる。ホロコーストの難を逃れた者にもまた別の艱難辛苦が降りかかる。なんとも救いがない。 以下、メモのために詳細を。 ①疎開先で差別を受けながら暮らしていたが、ある日保護者である叔母が急死。驚いた拍子にランプを落として家を焼失してしまう。 ②当てもなく歩いていると、どこぞの村で捕らわれて占い師の老婆に引き取られる。そこで手伝いをしていたが体調を崩す少年。すると老婆は、少年の首から下を土に埋めてしまう。カラスにつつかれていると老婆が助けに来るので、これは始末しようということではなく治療法?その後もそこで暮らしていたが、ある日村の少年らに川に落され流されてしまう。 ③どこぞの村の親父に保護され使用人となる。そこの親父は短気で乱暴で、妻と若い使用人が不倫しているといつも疑っている。ある日キレた親父が使用人の目玉をくり貫いたことで身の危険を感じた少年はその家を出ることとなる。 ④次に拾われた先では、老人が鳥を売り生活していた。一見優しいように見えるが、色を塗った鳥を群れに放ち、異色の鳥がいじめ殺されるのを眺めることが趣味と、異常性もある(これが映画タイトルになっていて、異端の者は排除されるという意味が含ませてありそう)。ある日、村のはずれで艶かしい女と出会い、老人と女は関係を持つ。老人は彼女に惚れてしまったが、女は村の若者と手当たり次第関係を持ったため、若者の母親たちにひどい暴行を受け、後に死んでしまう。悲しみ暮れた老人は首を吊り自殺。 ⑤少年が歩いていると馬具を装着した馬が独りで佇んでいる。馬のケガを治療し、近くの村に連れていくと、飼い主らしき男はその馬を引き摺り殺してしまう。その後少年はユダヤ人であることを見抜かれドイツ軍へと引き渡される。 ⑥軍に引き渡され射殺されそうになるが、射殺を願い出た兵士の慈悲により逃がされる。 ⑦場面変わってユダヤ人が強制収容所へ列車輸送される場面。数人が列車から逃げ出すが、機銃掃射により亡くなる者、ケガをする者。少年はケガを追った子供から靴を拝借していると、そこでまたドイツ軍に捕まってしまう。 ⑧少年はドイツ兵にへつらうと、そこを通りかかった司祭の目に留まり、教会の手伝いをすることに。司祭は信者である男に少年を預けるが、その男は幼児性愛者だった。毎晩犯される少年。ある日限界が訪れ、男を廃墟に誘い込み、穴に落として殺害してしまう。その後は司祭のもとで暮らしていたが、ほどなく司祭は病死。司祭の葬儀中、過って聖書を落とした少年は、信者たちから肥溜めへ落とされしまう。 ⑨しばらく宛もなくさまよう少年。寒い冬は容赦なく少年を襲う。ある日凍った湖に落ちて凍えている少年を、通りかかった女性ラビーナが保護する。 ⑩病気の旦那と暮らすラビーナだが、ほどなくして旦那は病死。ラビーナは少年を性の捌け口として可愛がる。しかし少年はまだ成熟しておらず、行為まで及ばない。怒ったラビーナは少年を侮蔑するようになり、ある日少年にヤギとの性交を見せつける。頭にきた少年はそのヤギの首を切り落とし、ラビーナの部屋に投げつけ家を出る。 ⑪自尊心を傷つけられた少年は、通りすがりの老人を殴り倒し持ち物を奪う。 ⑫またまたさまよっていると、ソ連軍に保護される。そこで兵士数人が地元民に殺される事件が起きる。世話をしてくれている兵士は少年の前で地元民数人を狙撃し「目には目をだ。忘れるな」と教える。 ⑬戦争が終わり孤児院へ。周りの少年たちに馴染めないまま暮らす。ある日、市場で商人に泥棒扱いされ殴られた少年は、ソ連兵にもらった拳銃で報復。 ⑭父親が孤児院に現れ少年を引き取る。父親は涙を流すが少年は無表情。ホテルにて少年が好きだった料理を振る舞うも、少年は口にしない。「疎開は仕方なかった」と説明する父親の言葉に、少年は激昂し皿を投げつける。それほどまでにこれまでの出来事が耐え難かったのだ。 ⑮翌日バスに乗って家へと向かう父親と少年。そこで父親の腕にチラリと見えるユダヤ人識別番号。父親もまた収容所にて酷い目に遭ったのだろう。少年はバスの窓に自分の名前を書いた