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【2回見たい映画】 ラストの伏線回収で一気に人物像が変わり、その深すぎる想いに涙腺崩壊。その心情を把握した上で、おそらく印象が全く変わる2回目を見たくなる。そんな脚本・原作力と出演者の熱演っぷりに心ポカポカ満足の一本。 ◆トリビア ○ 以前、永野芽郁の母親が原作を読み、「もしもこの小説が映画化されるなら、優子を芽郁に演じてほしい」と言われていた。(https://wwws.warnerbros.co.jp/soshitebaton-movie/pronote/) ○映画と原作では結末が違う。(https://book.asahi.com/article/14465455) ○撮影時、石原さとみが感極まって涙が溢れたシーンがあったが、ネタバレになるのでカットされた。(https://news.yahoo.co.jp/articles/571d2ca189f67eda056de9b40f3df4dfcbfa416c?page=3) ○ 永野芽郁は撮影の3か月前から、ピアニスト役の岡田健史は半年前からピアノのレッスンを始めた。(公式サイトプロダクションノート) ○ 泉ヶ原(市村正親)の家にあるグランドピアノは、世界三大ピアノのひとつベーゼンドルファーのヨハンシュトラウスモデルで、値段は数千万円。(公式サイトプロダクションノート) ○永野芽郁は、原作者瀬尾まいこの本を全部持っているほどの大ファン。(https://book.asahi.com/article/14465455) ◆概要 【公開】2021年10月29日 【上映時間】137分 【原作】瀬尾まいこ「そして、バトンは渡された」(第16回本屋大賞受賞) 【脚本】橋本裕志(「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」に続く前田監督とのタッグ) 【監督】「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」前田哲 【出演】 永野芽郁、田中圭、石原さとみ、稲垣来泉、市村正親、大森南朋、岡田健史、朝比奈彩、安藤裕子、戸田菜穂、木野花 ◆ストーリー 4回苗字が変わった優子と義理の父森宮さん。自由奔放な魔性の女・梨花と義理の娘。優子の元に届いた手紙をきっかけに、繋がりのなかった2つの家族の物語が交差し、優子ははじめて家族の《嘘》を知っていく。そして命をかけたその《嘘》が紐解かれるとき、幸せな涙があふれ出す。 ◆ ◆以下ネタバレ ◆ ◆泣ける 梨花の秘めた想いが明らかになるラスト。みぃたんを我が子以上に大切にしたのは、子を産めない体だったから。“デタラメ”なフリは、病を決して悟らせないため。ひっそりと卒業式にも来ていた梨花が、優子のウエディングドレスを目を輝かせて見つめる姿にはもう涙腺崩壊だった。 ◆視点 そんな梨花という人間が、ただのデタラメ女でしかなかった中盤までを、そんなラストで一気に奥の深い人間に印象を変えてしまう本作。これぞ脚本力、原作力だと思った。個人的には、梨花が死ぬ事を想定しておらず驚いたのとともに、「ママは何歳まで生きるの?」とみぃたんが梨花に問うシーンと、校舎を去る老夫婦のカットと、あんなに分かりやすい伏線に気づけなかった自分が悔しかった笑。 ◆家族 名字が結果4度変わった優子。「浅田家!」「長いお別れ」「万引き家族」「湯を沸かすほどの熱い愛」と家族をテーマにした邦画は無数にある中、そこが本作の紛れもない特徴。何十冊もの手紙で最後にやっと通じ合えた水戸、梨花の想いにほだされ母娘丸ごと愛した泉ヶ原、いつでも熱心に父であろうとした森宮。血が繋がらずとも絆で繋がる家族愛、それが本作では2人の母と3人の父、そして早瀬と、大団円のように優子を囲むとても心温まるラストだった。バトンが渡されたのは、悲しい時でも笑顔でいればラッキーが舞い込む教えを信じて、笑顔を絶やさない素敵な優子を、守る権利。バトンが渡されるのを、名字が変わる事、優子を守る人達の写真で表現したエンドロールはまさにこの映画を丸ごと体現したものだったと思う。
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