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dreamer

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3 years ago

3.5


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The Man Who Shot Liberty Valance

Movies ・ 1962

Avg 3.6

西部劇に登場する酒は、"男をより男らしくするための健康な飲み物"として描かれる。 このジョン・フォード監督の異色西部劇「リバティ・バランスを射った男」で、エドモンド・オブライエンが、いみじくも言った「"勇気の素"は品切れか。では、酒場で仕入れることにしよう」と-----。 オブライエンは、無法者リバティ・バランスについて、正しく報道しようとする新聞社主だ。 彼にとって酒は、彼の正義感を増してくれる飲み物となっている。 この作品では、ジョン・ウェインの酔態が描かれている。彼は「勇気ある追跡」で酒好きの保安官を演じているほか、「騎兵隊」でウイスキーをあおって、医師への不信感をむき出しにしていた。 だが、酒に我を忘れたのは、この作品が初めてではないだろうか? 少なくとも、"健康な飲み物"のイメージは、ここにはない。彼が演じたのは、酒に逃げ場を求めるしかなかった憐れなカウボーイなのだ。 開拓時代の名残りをとどめるシンボーンの町に、ランス・ストダート上院議員(ジェームズ・スチュアート)が帰って来た。 彼は、記者会見で旅の目的を聞かれ、トム・ドノファン(ジョン・ウェイン)の葬儀に出席するためだと答える。 だが、新聞社には、ドノファンの名前を知っている者がいない。そこで、画面は、ランスの回顧談とともに、彼の青年時代に遡ることになる。 弁護士としてシンボーンへ来る途中、ランスは銀の柄の鞭を持った男に叩きのめされる。 ランスは、それが、リバティ・バランス(リー・マービン)という無法者であることを知る。 そんなランスに、拳銃でなければ勝てないと忠告したのは、カウボーイのドノファンだった。 ランスは銃を習い、リバティとの対決に備える。と同時に、ドノファンとのライバル関係に決着をつけねばならなくなったのだ。 ランスは、町のレストランの娘ハリー(ヴェラ・マイルズ)を愛したが、彼女はドノファンの恋人だったのだ。 夜の町で、ランスとリバティが対決する。リバティは銃を抜くと、ランスのそばの水がめを射って脅す。 二発目は右腕-----、ランスの手から銃が落ちる。左手で銃を拾うランス。 そして、銃声がとどろくと、そこに倒れたのはリバティだった。ハリーが泣きながら、ランスの右腕を手当する。 ドノファンは、恐れていたことが現実になったのを知ったのだ。彼は酒場で泥酔すると、家へ帰って、石油ランプを壁に叩きつけた。 ハリーと住むはずの家が、たちまち灰になっていくのだった-----。 この作品は、ミステリー仕立てだが、「捜索者」と同じく"報われない愛"が物語のベースにあるのだと思う。