
きなこ猫
6 years ago

Border
Avg 3.2
折角の主演映画にも拘わらず、特殊メイクのせいで素顔が全く分からないフィンランドの実力派女優エヴァ・メランデルが演じる、野獣のような風貌のティーナは、醜い顔とは裏腹に聡明で心が清らかな女性である。彼女が属する種族は虐げられた弱者であり、ずっと人間たちから人体実験まがいの拷問を受けていたことは容易に想像出来る。それでも彼女は同じ種族のヴォーレのように、人間を憎むことも、敵対視することもしない。 ヴォーレの勧めで生まれて初めて虫を口にするティーナ。虫喰い。それは彼らが祖先から受け継いできた〈食文化〉のひとつではないだろうか。ティーナが生きた幼虫をそのまま口に運んだ瞬間、彼女の細胞の隅々にまで染み込んでいた〈種族の本能〉みたいなものが目覚めたのだと思う。 確かにヴォーレが言うように、人間は地球上のすべてを自分のために使う寄生動物かもしれないが、すべての人間が善悪のボーダー(境界線)を越えているとは思えないし、思いたくもない。