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YOU

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5 years ago

4.5


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Black Book

Movies ・ 2006

Avg 3.6

Dec 03, 2020.

ポール・バーホーベンが監督・脚本を務めた2006年公開のサスペンス作品。 ハリウッドの一時代を築いたバーホーベンが祖国オランダに戻って制作した本作は、製作費に25億円が費やされたオランダ映画史上最大規模の作品。物語はレジスタンスの一員となった主人公のユダヤ人女性エリスが、偶然居合わせたムンツェ大尉の愛人となりナチスの内部へ潜り込むという潜入サスペンスがメインであり、真犯人探しや復讐譚といったエンターテイメント作品としての魅力も満載です。その過程で描かれる残虐描写も容赦がありませんが、本作に関してはそれらの直接的な残虐描写以上に恐ろしく描かれた「人間の露悪的な側面」がとにかく強烈な印象を残します。特に最悪なのは、終盤でエリスがナチスに加担したとしてレジスタンス側の人間から何とも醜い仕打ちを受ける場面ですね。このようにレジスタンスの人間にも”正義”や”犠牲者”という大義名分のもと他者を酷く痛め付ける人間もいれば、逆にナチスにも善良な心を持つ人間もいるという”単なる勧善懲悪の話には持ち込まない”本作の客観的な視点と語り口が、物語や登場人物に厚みを加えると共に劇映画としての魅力にも深みを与えていると思います。 144分とやや長尺ではありますが、とにかく色んな要素が盛り込まれておりその全てがズキズキと刺さってきます。これらを経て最後に待つのは幸せな日常かと思いきや、また非常に苦い後味を残すあの幕引き、やはり容赦がありません。一粒で何度美味しいんだ。 🍫