
Schindler's Memo
5 years ago
4.0

Everybody Knows
Movies ・ 2018
Avg 3.2
英語名の直訳は「誰もが知っている」なのだろうが、邦題に「それを」を付けたのはセンスがあると思う。つまり、当事者が、当事者だけしか知らないと思っている「それ」は、田舎のコミュニティの中では、ほぼ常識的に知られていることであり、更にコミュニティとしては、知っていることを当事者だけには秘密にしているのだ。 この何とも言えない「狭さ」と「疎外感」を、誘拐事件を機にあからさまにしてゆく過程を丁寧に描いた映画だ。 誘拐事件自体は単純で、一応サスペンスはラストまで保たれるが、収束も予想通りである。 それにもかかわらず、ラストまで気が抜けないのは、当事者と傍観者(当事者感がより薄いと言うべきか)のやりとりが、更に傍観者であるところの観客の感情を逆なでするからだ。 中東出身の監督が、西欧圏で撮ったファミリー・ドラマであるが、「夫婦」という、いわば他人同士が家族として一緒にいるという不思議さは、万国共通なんだと改めて思う。 主役二人は、実際には夫婦である。しかし、夫婦ではないが、本来は・・という何とも皮肉な役どころは、狙いなのか?