Comment
ジュネ

ジュネ

7 years ago

3.5


content

April's Daughter

Movies ・ 2017

Avg 3.1

『父の秘密』『ある終焉』でカンヌの審査員賞を連続で獲得したミシェル・フランコの新作で、またしても審査員賞に輝きました。これだけ賞を得ているのですから実力は確かだと思いますが、作風はミヒャエル・ハネケを思わせる間の取り方や、ヨルゴス・ランティモスを思わせる「理由もなく訪れる理不尽な仕打ち」に満ちたストーリーテリングなど、今一つ独創性に欠ける部分もあり、突き抜けるにはまだ時間がかかるかもしれません。 とはいえ今回もかなり面白い視点の映画であることは確かで、平気で実の家族を貶める母アブリルの胸中はいかほどなのか、非常に興味をそそられます。劇中、彼女の過去にいったい何があったのかは深く描かれないのですが、結婚や子育てに失敗し、「女としての人生」も終わりに差し掛かっているであろうアブリルの怒りや虚しさはなんとなく理解できます。 問題はそんな彼女がモンスターへと変貌していく過程において、行動があまりに突飛で置いてけぼりを食らった気分になってしまうことで、この傾向は作品を追うごとに強くなっている気がします。監督本人も先にあげた二人やラース・フォントリアーをリスペクトしているとのことですが、あまりエキセントリックにならないことを祈っています。