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星ゆたか

星ゆたか

4 years ago

4.0


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Bicycle Thieves

Movies ・ 1948

Avg 3.6

2022.2 俳優としても100本以上の出演作がある、ヴイットリオ・デ・シーカ監督の代表的映画。 この作品に監督は次のような言葉を添えている。 『日常のごく些細なお話に、驚くべきものを追求するために手がけた。この物語におかしな所があれば、それは社会が目をつぶっている点だ。社会的矛盾のおかしさだ。また真実と善とが道を開くことを困難にしている、無理解なおかしさである。』 一般にネオ・リアリズムの特徴は、人間のあらゆる問題を明白に見、その欠陥を発見し、これを暴きかつ排除する姿勢と言われる。その辺の流れから、ロベルト・ロッセリーニ監督らと共に数々の傑作を世に送りだした、その中の一本である。 デ・シーカ監督は、製作にあたり、子供たちのあとをつけて、その動作・考え方・外見などを研究したそうである。 例えば、盗まれた自転車を父親と探す場面。雨に足を滑らせ、すりむいても心にゆとりのない父は子に気配りが出来ない。イラダチで殴ったりしてしまう。すると子は父との距離をおいてついてくる。そこで父は息子のご機嫌とりに、食堂でご馳走する。するとすぐ子はゴキゲンになり、隣のテーブルの少し裕福な子のマネをして食べたりする。彼らの身近にいて心の動きを語る。それが小さな事柄に重要性を与え、何でもない日常の出来ごとに深い意味を与える。 犯人らしき人物が何度も出てくるのに、問題は解決しない。どうもグループ詐欺の中の盗難らしい。この辺は現代のオレオレ詐欺にも通じる。そうした苦しみを体験する時、誰しにもある心の葛藤、悪魔と天使の ささやき、その選択を迫られる。そしてたまたま誤った手段をとってしまう。 そして社会の糾弾を受けることに。そこから救ってくれるのは、やはり共に苦楽を味わった息子(未来の継ぎ手)だという、希望を残した幕切れに、ホット救われる気分だ。