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北米公開と同時にNetflix からストリーミング配信が全世界一斉に開始された。韓国の山奥で少女と《食肉用トトロ》とのほのぼのとした交流が描かれた後、舞台は食肉処理場のあるニューヨークへ。これは明らかに「キングコング」へのオマージュだ。NYで見世物にもされるしね。ここでALF(Animal Liberation Front)つまり、動物解放戦線みたいなのが絡んでくる。海洋生物保護のため捕鯨船に体当りするなど過激な行動で知られるシーシェパードのパロディになっており、可笑しかった。本作は少女・食肉加工を手掛けるミランド社・ALFという三者三様の【正義】がぶつかり合う物語である。ポン・ジュノ監督は誰が正しいか、最後まで結論を下さない。観客は普段からカツ丼など豚肉やソーセージ、ジャーキーを食べているわけで、ミランド社を一概に悪者と言い切れない。AFLの行動だって身勝手で傍迷惑だ。正義と悪を分けられない【居心地の悪さ】。このモヤモヤした感情こそ、ポン・ジュノの真骨頂と言えるだろう。「殺人の追憶」だって最後まで真犯人が分からないしね。
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