
cocoa

Ammonite
Avg 3.4
フランシス・リー監督の長編デビュー作「ゴッズ・オウン・カントリー」に続いての第2作目を観ました。 原題は「Ammonite」。 両作品とも共通しているのは無駄なセリフがなく、登場人物の表情や仕草で充分に伝わる気持ちの揺れ。 そしてイギリスのどんよりした空や海。 この監督の景観のこだわりをいつも感じます。 1840年代のイギリス、南西部の海沿いの街、ライム・レジスが舞台。 化石の街と知られ、ジュラシックコーストの一帯は今では世界遺産にもなっている。 実在した古生物学者のメアリー・アニングを知った監督が自身の着想からストーリーを紡いでいます。 いつも疲れた顔をしているメアリー・アニング(ケイト・ウィンスレット)。 ライムの海岸で化石を拾ったり、掘り出したりして細々と「アニング化石店」を開いている。 そこにやって来た富豪の化石収集家の妻シャーロット(シアーシャ・ローナン)。 相反する性格の2人がいつしかひかれ合っていく…そんなストーリー。 この2人の女優となれば演技対決になるとは思ったけど、まさに見応え充分。 特に無愛想で疲れたメアリーを演じるケイト・ウィンスレットは凄みがあった。 男社会の中で貴重な化石を発掘しても大英博物館では発掘者の名前が変えられてしまう。 父亡き後、病気がちな母と2人で暮らし、干潮の海に通って泥まみれになって化石を掘る姿。 裕福そうなシャーロットに対しても反感を持っていたが、シャーロットの高熱を看病したことで一気に距離が縮む。 「ゴッズ・オウン…」と同様に、同性同志の激しい性愛シーンは監督のこだわりか。 それにしても演技派女優のぶつかり合いのようなシーンが素晴らしかった。 元気になったシャーロットに招かれ、ロンドンの邸宅に行くとメアリーの部屋と衣装などあつらえているシャーロット。 それに対して憮然とし、追い詰められた気持ちになるメアリーの姿に信念を感じた。 2人の衣装も興味深かった。 労働者階級のメアリーの服や下着など、裕福なシャーロットのそれとはまったく違う。 シャーロットが海岸の泥沼のような中から化石を探し、ドレスが泥まみれになっても自分では洗わないだろう。 大英博物館の展示ガラス越しに見つめ合う2人、そんなシーンで終わるのも好きでした。 ついでにエンドロールの優美な筆記体、曲も相まってとても美しい作品でした。