
cocoa

A Most Wanted Man
Avg 3.3
原題は「A Most Wanted Man」。 英題も邦題も好き。 スパイ小説でお馴染みなジョン・ル・カレ氏の同名小説を映画化。 主演のフィリップ・シーモア・ホフマンの遺作となった作品です。 久しぶりの再鑑賞ですが原作がしっかりしているし、フィリップ・シーモア・ホフマンの渋い演技満載の見応えある一本でした。 ドイツ、ハンブルクでテロ対策チームのリーダーであるギュンター・バッハマン(フィリップ・シーモア・ホフマン)。 チェチェンから国際指名手配されているイッサ・カルポフが密入国してくる。 対立する治安局のモアはすぐにでも逮捕するべきと言うが、バッハマンはイッサを泳がせてもっと大きなテロ支援組織のトップ、アブドゥラ博士を狙いたい。 アメリカCIAの諜報部も参戦する中、奮闘するバッハマンのチームのおとり捜査の結末は……そんなストーリー。 ドイツが舞台でドイツ語じゃないのは目をつぶろう。 (ダニエル・ブリュールやニーナ・ホスも共演なのに、ね。) 忠実な部下の協力の元、バッハマンが仕掛けるイッサを使っての作戦も見応えがある。 人権派の弁護士アナベル(レイチェル・マクアダムス)や銀行家ブルー(ウィレム・デフォー)を巻き込んで、じりじりとアブドゥラ博士のお金の動きを見つめるチーム。 テロ資金用の口座に振り込んだ瞬間のバッハマンの表情がたまらなかった。 耐えて耐えて、成果を掴んだ静かな達成感。 しかし結果的にバッハマンの成果を根こそぎ奪うラストのシーンは何度観ても悔しい。 彼の放つ「ファッーク!」。 慟哭の叫びが耳から離れない。 かつてもバッハマンの諜報活動を台無しにしたCIA。 そんな過去から彼は信頼していなかったはずなのに、お互いの「世界平和」と言う目的に隙を突かれたか。 アメリカなんて信じちゃいけない、そう思った瞬間でした。 CIA捜査官サリヴァン(ロビン・ライト)のしてやったり!の表情が憎々しい。 結末も知っているのに思わず感情移入し観られたスパイ映画。 派手な銃撃やアクションは全くないのに、原作の力と俳優陣の演技を堪能できる作品。 フィリップ・シーモア・ホフマンの太った冴えない中年男が哀愁たっぷりで堪らなく愛おしい存在だった。 彼は多岐にわたっていろんな役をやっているが見事な諜報部員役だった。 今作のアントン・コービン監督とは珍しく意気投合し、次回もタッグを組みたいと約束したのに。 彼の作品はもう観られないのが改めて悲しい。