
ジュネ
2.0

Angst
Movies ・ 1983
Avg 3.0
2020年95本目は、あまりの過激さに上映2週間でお蔵入りとなった伝説のカルト映画が復活『アングスト/不安』。 ------------------------------------------------------------ 1983年当時としてはかなり撮影方法も異色で、常に主人公をハンディカムで追い続けるため視点はブレブレ。かと思えば謎の俯瞰で主人公を斜め上から捉えてみたり、いざ凶行が及ぶシーンに差しかかかると「ズッチャッ!ズチャッズチャッ!」と軽快なBGMが流れたり、非常に奇抜な1品であることは間違いないかと思います。ただ、猟奇的な殺人鬼の内面からにじみ出る悪意は全く表現できておらず、視覚的効果に頼りきりな印象です。 ------------------------------------------------------------ 特にもったいないのが全編を彩る犯罪者の独白で、殺人をどうして犯そうと思ったのか、どんな気持ちだったのか、自分はどんな人間なのかをすべてモノローグで説明してしまうんですね。これは作り手の想像に過ぎないわけですし、台詞のどれもがザコ臭に満ちていて、何だか奇をてらったB級映画にしか見えませんでした。上映禁止になったのは被害者遺族の感情を逆撫でする題材のセンシティブさゆえ、でしょう。 ------------------------------------------------------------ 実際の犯人であるヴェルナー・クニーセクは現在も終身刑に服して存命中であり、劇中の所業はほぼ事実に基づいています。彼は家族全員を何時間も拷問したあげく絞殺し、ペットとして飼われていたネコも虐殺しています。本編ではその辺りの描写は全くマイルドに押さえられているんですが、事件からたった3年しか経過していないのに映画化しちゃうというのは、作り手も若干頭のネジが飛んでる証拠だと思います。