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【急所を突く映画】 キャストもスタッフも女性が主軸。激カワな悪カワクイーンチームが男の急所を蹴散らす様は、もはや男でも快感。そんな中にもセクシュアリズムや人種のダイバーシティも内包する巧みさ。まさに映画の急所を突くような一本。 ◆概要 原作:チャック・ディクソン&ゲイリー・フランク『バーズ・オブ・プレイ』 監督:「Dead Pigs」キャシー・ヤン 出演:「スーサイド・スクワッド」マーゴット・ロビー、「スターウォーズ」シリーズ ユアン・マクレガー、「ジェミニマン 」メアリー・エリザベス・ウィンステッド ◆ストーリー 悪のカリスマ=ジョーカーと別れ、すべての束縛から解放されて覚醒したハーレイ・クインは、謎のダイヤを盗んだ少女カサンドラをめぐって、残忍でサイコな敵ブラックマスクと対立。その容赦のない戦いに向け、ハーレイはクセ者だらけの新たな最凶チームを結成する。 ◆感想 何も考えずに見れる、悪カワアクション映画。DC初心者にも嬉しい冒頭の説明つき、全体的にも時間軸を行き来する流れが丁寧に説明してあって、置いていかれない。女性キャストが活躍する、女性スタッフによる女性映画。ある意味、男性鑑賞者は肩身が狭い!? ◆ ◆以下ネタバレ ◆ ◆悪カワアクション 全体的にはこれに尽きる。「ジョン・ウィック」を彷彿とさせる(個人的にはジャッキーチェン超え笑)、華麗なアクション。無駄に回る笑、跳ぶ、カーアクションにローラースケートも飛び出す迫力。それをいつだってオシャレでかわいいハーレイ・クインがやり遂げてしまうのだから、もう眼福そのもの。バイクに引かれ車に飛び乗り、クラクションも器用に使ってリズミカルに敵を蹴散らすシーンが最高だった。 ◆女性の活躍 「チャーリーズ・エンジェル」「ゴースト・バスターズ」「オーシャンズ8」にも見た、女性がこれでもかと活躍する姿が眩しい本作。後述するように、出演者からスタッフまで今作は女性が主軸。散々敵(男性)の急所を蹴りたくるし、「女なめんな」のセリフや、ラストの遊園地でのバトルが、シオニス率いるゴッサムの男性チームとの構図になっていたのも全て、この映画のセクシュアリズムに対する姿勢が明確だったように思う。ある意味逆セクハラ映画だとすら思ってしまうほど笑。 ◆ダイバーシティ “悪カワ”チームを演じる5人のうち、キャナリーがアフリカ系、レニーが南米系、カサンドラがアジア(韓国)系のアメリカ人。5人という少数の中にそんなダイバーシティをギッチリ内包する、白人ばかりが活躍する映画はもう古いと言わんばかりの配役に、イマドキなチョイスを感じる。 ◆マーゴット・ロビー 「ウルフ・オブ・ウォールストリート」でブレイクし、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」のシャロン・テート役、そして「スキャンダル」でのスカートまくしあげシーンが記憶に新しい彼女。「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」での怪演が、本作の破天荒なハーレイ役とも重なる。こと、その「アイ,トーニャ」と本作では自身もプロデュースに加わり(後述の通り)、自身でも制作会社を立ち上げているというのだから、その映画への傾倒ぶりに、否応にも彼女に興味がわく。作り手の事も演じ手の事も分かる彼女が、おそらく徹底的に練習を積んで披露したアクション、幾人からも恨まれているというキャラ設定、泣きぼくろのようなハートマークのメイク一つまでとことんこだわった。そんな見方をしてみるのも面白い。 ◆DC 前述した冒頭の説明シーンに始まり、「バットマンは…」と思わせぶりな声だけのポストクレジットに終わる本作。そこだけ切り取ると、DC作品自身の知名度に対する謙虚さと、マーベル作品への対抗心みたいなものを感じてしまう。「ワンダーウーマン」も近日公開のようで、個人的には応援しているDCエクステンデッドの発展を、これからも期待しています。 ◆ だいぶ俯瞰なことばかり書いてしまったけど、冒頭、タンク車で工場を破壊する、ハーレイ越しの花火のようなシーンがピカイチ。ネックレスをちぎり、“J”から完全脱皮して覚醒したハーレイ・クインの活躍の予感がみなぎる、ワクワク満点のシーンでした。悪カワクイーンの次回作も期待! ◆トリビア ○ 2015年、マーゴット・ロビーがワーナー・ブラザース映画にハーレイ・クインが登場するスピンオフ映画の製作を打診。ワーナーはその製作発表時に彼女のプロデューサー就任も発表した。主人公やその周りの登場人物たち、監督や脚本まで本作は女性が核を担っている。(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ハーレイ・クインの華麗なる覚醒_BIRDS_OF_PREY) ○ 劇中のアクションは、「ジョン・ウィック」も手掛けた「87eleven Action Design」がデザイン。(https://eiga.com/movie/90686/special/) ○ ハーレイ・クインの肌が白いのは、『スーサイド・スクワッド』でジョーカーへの愛を示すために、自ら化学薬品タンクに飛び込んだから。ジョーカーにはもともと、「バットマンに追い詰められて化学工場の薬品タンクに落ち、肌が白く漂白されてしまった」という設定があり、「もし本当に愛しているのなら、俺のために全てを捧げられるか?」と聞かれ、飛び込んだ。(https://front-row.jp/_ct/17349802)
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