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Till

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4 years ago

4.5


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Logan

Movies ・ 2017

Avg 3.7

『X-MEN』シリーズの10作目であり、『ウルヴァリン』三部作の最終作となったアクション映画。 ヒュー・ジャックマンが演じるウルヴァリンはこれで見納めとなるわけだが、その17年の歴史に終止符を打つ最終作に相応しい傑作だった。もちろんシリーズを通して観た方が入り込みやすいが、単体作品としても見事な完成度。 『X-MEN』シリーズは、確かにウルヴァリンが主役ではあるが、基本的にはミュータント全体の物語。そこから『ウルヴァリン』シリーズでさらにウルヴァリン単体がクローズアップされ、彼のバックグラウンドなどが描かれてきた。そして本作『ローガン』では、タイトルに「ウルヴァリン」というヒーローネーム的な名称が使われていないことからも分かる通り(ローガンも本名ではないのだが)、ローガンのまたさらにパーソナルな人生に迫っていく。もちろん「ミュータントの人体実験」という、シリーズで一環して描かれてきた「差別問題」が話の下敷きになってはいるが、本作はどちらかと言えばローガンのヒーローとしての葛藤を描く「ヒロイズム」がテーマになっているのも、彼のパーソナリティに焦点が当てられているからだろう。 これまでに「ヒロイズム」を描いたヒーロー映画は山ほどあるが、やはり本気でそれをテーマとするからにはR15指定になるのは必至であろう。そもそもこの「ヒロイズム」というものは、子供にはちょっと早すぎるからだ。子供にとってヒーローは疑う余地のない正義の味方であり、「ヒーローは敵を倒す」というが道理である。善は善、悪は悪、この勧善懲悪の構図が当たり前なのだ。ただそれはある種の「幻想」であり、結局は単純化された図式に過ぎない。ヒーローとはいえ実際には人(生命)を傷つけ、ときには殺めており、そして彼らはその十字架を背負って闘っている。確かに正義の暴力と悪の暴力は違うが、いずれにしても、暴力には責任が伴うということを知らなければならない。この『ローガン』では、そういった現実の残酷さや複雑さ、恐ろしさを、強烈なバイオレンス描写で表現している。 映画自体も全体的に重苦しく、最初から哀しげな雰囲気が漂っている。舞台はミュータントが絶滅危機にある近未来で、ローガンは老化が進行し、治癒能力も衰え、プロフェッサーことチャールズ・エグゼビアはアルツハイマー病を患い、認知能力が大幅に低下している。シリーズを最初から鑑賞し、彼らに対して愛着を抱いている側からすれば、この悲惨な状況には哀しさとやるせなさを感じずにはいられない。しかし、そこにローラというミュータント存続の危機に光を照らす新たな希望が現れ、ローガンとチャールズは彼女や他の子供たちを守ることを決意する。ローガンは全盛期に比べて完全に弱体化しているが、それでも彼女らを守るため、血を流し、ボロボロになりながら必死に闘い続ける姿には心を打たれた。そして最高にかっこよかった。 また、そういった感動作としての側面に目が行きがちだが、実はアクション映画としてもシリーズ最高レベルの出来ではないだろうか。『X-MEN』シリーズはその奥深いテーマ性こそ素晴らしいのだが、毎度アクションが盛り上がらない。「ヒロイズム」の否定を扱った本作から逆算して考えれば、あえてヒロイックに描かなかっただけか?と深読みもできるが、おそらくそんなことはないだろう。しかし、本作では、キレのよいド迫力のアクションが見られる。ヒュー・ジャックマンの渾身のアクションはもちろんだが、ローラを演じたダフネ・キーンの、あのヒットガールを彷彿とさせるような身のこなしも素晴らしかった。 もうヒュー・ジャックマンのウルヴァリンを見られなくなるのは寂しいが、これ以上ない完璧な幕引きで、見事に有終の美を飾ったと思います。