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dreamer

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4 years ago

5.0


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M*A*S*H

Movies ・ 1970

Avg 3.2

"戦争の愚かさを痛烈に笑い飛ばした反戦コメディの傑作「マッシュ」" M★A★S★Hとは、Mobil Army Surgical Hospital(移動野戦外科病院)の事であり、ヴェトナム戦争が泥沼化し反戦運動が激化した時代の記念碑的映画で戦争、ことに軍隊の権威主義を猥雑にブラックなユーモアとシニカルな毒気をもって痛烈に暴いた反戦コメディの傑作です。 毒をもって毒を暴いて痛烈にデタラメである事が、戦争の愚かしさを証明しているという、正にブラック・ユーモアに満ちあふれた傑作になっています。 映画のオープニングで「Suicide Is Painless」のメランコリックな哀愁のメロディと共にヘリコプターに乗せられて運ばれて来る、戦場で負傷した兵士達が映し出されます。 映画的興奮の世界に誘い込まれる素晴らしいオープニングです。 「Suicide Is Painless」と美しくリリカルなメロディの中、"自殺は苦痛ではない、気分が変わるもの/やるもやらぬも私の勝手/君も好きにするがいい"とブラックでシニカルな内容を歌っていきます。 舞台は朝鮮戦争末期と冒頭の字幕に出てきますが、ロバート・アルトマン監督がヴェトナム戦争を意識して描いているのは明らかです。 この戦場から数キロ離れた場所に設置された、移動式野戦外科病院に従軍する医師達の過ごすデタラメで乱脈な"非日常の日常"を映画は描いていきます。 ホークアイに扮するドナルド・サザーランド、トラッパー・ジョンに扮するエリオット・グールド、デュークに扮するトム・スケリットのある意味いい加減な医師達は負傷して血まみれになった兵士達の外科手術を行ない、同時に、頑迷な上官への対応にも忙殺される日々が描かれます。 この外科手術の場面は、シビアで現実的な生々しさで描かれていて、その後の彼等の悪ふざけの場面との対比において、非常に効果を上げています。 ホークアイ達が巻き起こす戦場では考えられない悪ふざけの数々、上官のバーンズ少佐に扮するロバート・デュヴァルのSEXの現場を実況中継したり、ホット・リップスことオフーリハン少佐に扮するサリー・ケラーマンが生まれつきのブロンドか否かを賭けて見物人を募り、シャワーを浴びている彼女を公開して確認しようとしたり、自殺志願者の為に最後の晩餐を厳かに催したりと、もうデタラメで破天荒な行為が描かれていきます。 この映画は一見するとひどく安っぽく、薄汚く、下品で猥雑に見え、一貫した物語等ないように見えますが、これは監督のロバート・アルトマンが意図した事で、彼は「これは締まりがなくて、とりとめのない作品にすべきだと思った。 そうすればプロットらしき物、構成らしき物が現れるはずだ。 ひどいジョークも戦場で正気を保つ為の術として効いてくると思った。 誰ひとり理想の為の戦いなんてしていない。」と語っています。 ロバート・アルトマン監督は、客観的に当時のアメリカという国を捉え、その為、このシニカルな笑いは、常識やモラルから解放された、時に奇妙に思える程の爽快感さえ我々に味合わせてくれるのです。 考えてみれば、ホークアイ、トラッパー・ジョン、デューク達の傍若無人とも思える言動とどこか冷めてシニカルな視線は、そのままロバート・アルトマン監督の現実を冷徹に直視する視線であった事がわかります。 この映画の主人公達は、正にいい加減な人間で一見、アンチ・ヒーローのように見えますが、実は"彼等の果たす役割は、戦争の愚かさを暴き、痛烈に笑い飛ばす事で、我々観る者にカタルシスを呼び起こしてくれる、堂々たるヒーローなのです。" 映画「M★A★S★H・マッシュ」は、カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞し、1970年度の第43回アカデミー賞で最優秀脚色賞を受賞し、同年のゴールデン・グローブ賞でコメディ・ミュージカル部門の最優秀作品賞を受賞しました。 特にカンヌ国際映画祭では、同年にアメリカから出品された、スチュアート・ハグマン監督の「いちご白書」と最後までグランプリを争った事でも 有名で、結果、「M★A★S★H・マッシュ」がグランプリを「いちご白書」が審査員特別賞を受賞しました。